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幕末から明治にかけ活躍した勝海舟の書を元に作られたとみられる福島県郡山市の安積国造[くにつこ]神社ののぼり旗「五反幟[ごたんばた]」が市内で見つかった。同市の金透小で23日、地元の本町第一町会が披露した。町会関係者は「勝海舟と郡山のつながりを表す貴重な資料」としている。
五反幟は祭礼で掲げるのぼり旗で、明治時代は偉人が書いた旗を掲げる町会もあった。郡山商工会議所会頭・滝田康雄さんの自宅倉庫で発見された。縦13・5メートル、横約2メートルの布に「安積国造神社」の文字や明治維新後に名乗った「勝安芳」が記され、本人の書を示す落款が押してあった。
五反幟を収めていたキリの箱には、制作年とされる1876(明治9)年の意味の「明治九子歳」と「従三位参議勝安芳書」の字が記載されている。さらに当時の宮司、世話人らの氏名も確認でき、町会は勝海舟の書である可能性が高いとみている。
2004(平成16)年にも今回と同じ「安積国造神社」と書かれた五反幟が滝田さんの自宅倉庫から見つかったが、制作年など不明点が多かった。今回は型染めの型紙も一緒に発見されており、町会によると、複写する前の原本の可能性があるという。
横田高太郎町会長は「祭礼の歴史が分かる貴重な発見」と価値を強調している。町会は市歴史情報博物館に五反幟の収蔵を打診する予定。