福島のニュース
マダガスカルでは、小学校生活を途中で断念する子どもたちが目立つ。半数以上が中学への進学を諦める。貧困の家庭を支える働き手となるのに加え、教育の質の低さが要因という。
国際協力機構(JICA)によると、十分に読み書き、計算できる児童は2割と低学力が深刻な問題だ。教育水準の低さが、経済発展を妨げている。小学校教員の半数以上を専門知識の乏しいボランティアが占める。指導力のある教員の確保、授業内容や教材の改善が喫緊の課題となっている。
福島県郡山市出身で、JICA海外協力隊員の伊東莉々香さん(24)は今年1月、マダガスカルに学習支援員として派遣された。ベタフ地域の小学校を巡回している。重要視しているのが、学校に通う楽しさを伝えること。異文化に触れられる教育の良さを知ってもらおうと、簡単な日本語を指導している。「牧師になりたい」。子どもたちは笑顔を見せ、覚えたての日本語を口にする。折り紙、馬跳びも教えている。
今後は算数などの教科指導にも力を入れる予定だ。足し算、引き算の基礎的な問題を解説し、学力向上に貢献しようと考えている。
学習支援だけではなく、保健衛生の啓発や環境教育も行う。地元ラジオに出演し、手洗いや歯磨き、地域の美化活動の必要性を呼びかけている。日本の小学校では恒例の運動会やお遊戯会などのイベントもマダガスカルにはない。伊東さんは現地の子どもたちが活躍する場をつくろうと、ダンスや歌の発表会を企画している。
晴れ姿を家族にも見てもらい、学校の大切さを感じてもらえたらと願う。「子の無限の可能性に気付くきっかけになってほしい。自信をつけ夢に挑戦してもらいたい」と思い描く。(本社整理部・白岩祐樹)