「農村関係人口」拡大へ知見共有 福島県、先進地の成果や課題調査 手引書作成、浸透図る

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「農村関係人口」拡大へ知見共有 福島県、先進地の成果や課題調査 手引書作成、浸透図る

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都市部に住みながら趣味やボランティアなどで農村と関わる「農村関係人口」の創出と拡大に向け、福島県は県内先進地の成果を他の地域と共有して取り組みの浸透を図る。今年度、これまで積み重ねたノウハウや課題を手引書にまとめ、研修会を通して地域の振興につなげる。人口の減少は各地で課題となっており、関係人口の増加によって地域の活力減退に歯止めをかけたい考えだ。
県は今年度中に先進地である13地区で現地調査を予定している。地区は【下記】の通り。県の委託を受けた業者が複数回訪れ、成果や現状、今後の意向などを聞き取るとともに、課題を抽出する。農村関係人口の数を把握し、関係人口のさらなる増加を促すために情報通信技術(ICT)や地域外人材の活用などを助言する。
手引書には先行地の実践事例を掲載する他、受け入れ体制整備の手順や情報発信の手法などを盛り込み、農村関係人口創出の指針とする。完成後は県のホームページに掲載する。農村振興に関わる県民を対象にした研修会では、手引書を農村関係人口創出に挑戦する際の参考にしてもらう。
県は2020(令和2)年度から地区を指定し、農村関係人口の創出を支援している。郡山市中田町下枝第2地区では、景観形成やソバ栽培などで継続的に都市部の住民が関わるようになり、にぎわいづくりにつながっている。同市逢瀬町多田野地区では、サツマイモ栽培体験が一定の効果を上げている。
一方、支援を受けた地区の中には地域外の人とつながる機会に恵まれず、受け入れ体制の整備が十分に進まない事例があった。受け入れ手法の確立、情報発信の在り方などの課題が見えてきた。課題を克服するために、現地調査の結果を踏まえて対策を模索する。
県は関係人口のうち、農村地域に特化したものを「農村関係人口」と位置付けている。農村関係人口のイメージは【図】の通り。移住による「農村定住人口」や観光に訪れた「農村交流人口」とは別に「地域と多様に関わる人々」を指す。
県農村振興課は「知見を集約し、県内農村の受け入れ体制強化につなげたい」としている。■棚田オーナー制度申し込み増の地域も
県によると、農村関係人口創出につながる取り組みには棚田オーナー制度も含まれている。棚田オーナー制度を巡っては、農村地域への関心の高まりだけでなく、コメの需要増を一因として申し込みが増えたとみられる地域もある。
農林水産省の「つなぐ棚田遺産」に選定されている二本松市の布沢集落の「東和の布沢棚田」もオーナー制度を活用している。布沢集落・布沢の環境を守る会によると、今年度の申し込みは前年度比3組増の9組だった。■県の農村関係人口調査対象地区◆郡山市中田町下枝第2地区◆郡山市逢瀬町多田野地区◆郡山市熱海町石筵地区◆三春町北成田地区◆石川町中田地区◆石川町所部地区◆玉川村四辻新田地区◆鮫川村◆喜多方市高郷町本村地区◆只見町布沢地区◆南会津町高野地区◆川内村高田島地区◆いわき市田人町入旅人地区