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福島県内の農業分野の賞で最も権威のある第66回県農業賞の受賞者・団体が決まった。農業経営改善部門に1個人と夫妻3組、2団体、集団活動部門・農村女性活動の部に1団体、新規就農部門に夫妻1組、復興・創生特別賞に2団体が選ばれた。スマート農業技術による規模拡大や生産性の向上、独自ブランドの確立、新たな担い手の育成などの取り組みが評価された。最高賞の農林水産大臣賞には南相馬市小高区でドローンやロボットを使い、水稲や大豆を大規模に生産している株式会社「紅梅夢ファーム」が輝いた。
受賞者・団体は【下記】の通り。東京電力福島第1原発事故に伴う風評被害に加え、多発・激甚化する自然災害や資材・燃料価格の高騰といった逆境と向き合い、省力化・効率化などの創意工夫を通じて生産拡大や販路開拓、後継者育成などに努め、農業者の模範となっている。
大臣賞の紅梅夢ファームは佐藤良一社長(71)が2017(平成29)年1月に設立した。地元の営農組織が出資し、東日本大震災と原発事故で被災した南相馬市小高区の農地で営農している。避難の影響で担い手確保が難しい中、スマート農業で効率化や省力化を図り、水稲や大豆を大規模に栽培している。農薬や肥料の散布にドローンを活用。従業員15人の半数超が20代と新たな技術を扱う若手を積極的に採用し、6次化商品の開発にも心血を注いでいる。
農業の復興、再生をけん引する生産者をたたえる復興・創生特別賞は緑里[みどり](川内村)、小川きのこ園(いわき市)の両社が受けた。緑里は水稲やエゴマを生産、加工、販売し、近隣の農業者を支援するなど村内産品の普及に貢献している。小川きのこ園は原発事故を乗り越えて菌床シイタケを栽培し、首都圏や北海道など県外に販路を広げている。
県農業賞は1960(昭和35)年に創設された。県、福島民報社、県農業会議、JA福島中央会、ラジオ福島の主催。沖野浩之県農林水産部長を審査長に、菊地裕県農業会議専務理事兼事務局長、今泉仁寿JA福島中央会常務理事、大槻幹郎ラジオ福島編成局長、角田守良福島民報社編集局長が審査に当たった。
9月9日に福島市の杉妻会館で表彰式を行い、受賞者・団体に賞状、記念品を授与する。福島民報社はクリスタルガラスの盾を贈る。【県農業賞受賞者・団体】(敬称略)◆農業経営改善部門・株式会社紅梅夢ファーム(農林水産大臣賞)南相馬市(水稲、ナタネ、大豆、タマネギ、水稲作業受託、麦作業受託)・有限会社ハッピーファーム郡山市(ナメコ、キクラゲ、ヒラタケ)・小室勝弘65浅川町(水稲、水稲作業受託、ナガイモ)・蛭田吉男69
祥子65矢吹町(水稲、ミニトマト、レタス、ホウレンソウ、シュンギク)・岩渕
薫61
公美61会津若松市(トルコギキョウ、イチゴ)・星
由夫77
カツ子72下郷町(水稲、ソバ、リンゴ)◆集団活動部門・農村女性活動の部・両沼女性ネット河沼郡・大沼郡◆新規就農部門
・石井達也36
有希36喜多方市(キュウリ)◆復興・創生特別賞
・株式会社緑里川内村(水稲、エゴマ、加工用トマト)・株式会社小川きのこ園いわき市(シイタケ)