東電社員から飲食店オーナーへ 福島県双葉町に出店した中野文春さん 「さらに双葉を盛り上げたい」

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東電社員から飲食店オーナーへ 福島県双葉町に出店した中野文春さん 「さらに双葉を盛り上げたい」

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東京電力の社員から飲食店のオーナーへと転身した。古里・福島県双葉町にチャレンジショップとして出店し、オープンから間もなく1カ月を迎える。「多くの人が来店し、ありがたい限り。さらに双葉を盛り上げたい」。東日本大震災と東京電力福島第1原発事故からの古里復興に貢献したい思いは日に日に増している。
25年間務めた東電を2012(平成24)年8月に退職。妻の春子さん(52)と共に避難先のいわき市に焼肉居酒屋「粋家[すいか]」を構えた。「双葉の復興に関わりたい」と、JR双葉駅東側の「FUTAHOME(ふたほめ)」で8月からランチ営業を続けている。
店を開くのは週に1回。営業を重ねるごとに客数が増えてきた。町民の交流の場となり、久々の再会を果たした友人、知人もいる。「双葉で店を開いたことでしか得られない経験ができている。悩んだが、店を出して良かった」。感謝の気持ちがこみ上げる。
車で毎週、双葉に通う。建物の解体が進み、変わり果てた古里の現状を目にし、さみしさを抱く。「復興はまだまだ道半ば。将来、町に帰還して店を出し、地域活性化を後押ししたい」
(小宅祐貴)
双葉町出身。小高工高(現小高産業技術高)卒業後、東京電力に入社した。福島第1原発事故発生当時は緊急作業に対応した。2012(平成24)年8月から、いわき市で焼肉居酒屋を経営している。