福島のニュース
ふたば未来学園は、東日本大震災と東京電力福島第1原発事故からの復興を成し遂げる人材の輩出に注力している。社会の課題や未知の状況を乗り越える資質と能力を養うため、地域をフィールドとした学習活動に重点を置く。世界で活躍できる次世代を育てる「事業拠点校」として東北で初の指定を受けるなど多彩な学びの環境が整っている。
主体性を持って考える「自立」、困難な課題に多様な主体と力を合わせる「協働」、よりよい新たな社会をつくる「創造」―の三つの校訓を実践的に学ぶカリキュラムを組む。総合的な学習・探究の時間を使い、中学では「未来創造学」、高校では「未来創造探究」を展開している。
未来創造学は双葉郡の歴史・伝統・文化に触れ、地元の「ひと・もの・こと」と関わりながら生き方を探る。身近な地域から課題の解決策を探り、世界に視野を広げる力を育む。未来創造探究は中学での学びを発展させる。原子力防災や伝承探究、共生社会探究など六つのゼミに分かれ、福島や世界の課題と向き合う活動を企画、実践していく。
世界で活躍できる人材育成に向けては、今年度までの3年間、文部科学省のワールド・ワイド・ラーニング(WWL)コンソーシアム構築支援事業の拠点校に指定された。高校生に高度な学びを提供する仕組みづくりを目指し、県内外や海外の高校生・大学生と連携した探究活動などを繰り広げている。8月に開催した国際サミットでは活動の成果として、社会課題を踏まえた未来へのメッセージを発表した。
事業に参加した賀沢京椛さん(2年)は「留学生の多様な考えに触れる貴重な機会になった」と体験を振り返り、「国際的な活動をはじめ、学園での学びから多くの刺激を受けている」と充実感を口にする。
小池瑠花さん(2年)は賀沢さんと共に、水素エネルギー分野で連携している浪江町と米国カリフォルニア州ランカスター市の民間交流に関する探究に取り組んでいる。浪江の活性化につなげるのが狙いだ。2人は8月から約1カ月間、ランカスターの高校に通学。町の復興状況を現地の人々に発表するなどしてきた。
小池さんは「海外との交流は、復興に向けて努力している住民の励みになる。幅広い経験を積み、地域の役に立つ人材になりたい」と話す。身近な地域から国際社会までを舞台に、学ぶ意欲を高めている。

