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東京電力と中部電力が出資する発電会社JERA(ジェラ)は広野火力発電所(福島県広野町)の1~4号機を解体・撤去する方針を固めた。既に廃止していた1、3、4号機(計260万キロワット)に加え、2号機(最大出力60万キロワット)を30日に廃止した。これまでは撤去するかを含めて廃止後の対応について「未定」としており、ジェラの判断が注目されていた。同社は今後、撤去後の跡地の詳細な利用の在り方について町との協議に入る。
同社によると、1980(昭和55)年の運転開始から既に40年以上が経過している2号機の廃止については、設備の老朽化などから維持が難しいと判断した。今年4月から長期停止中だったため、電力の供給に影響はないという。1、3、4号機は2023(令和5)年10月に既に廃止となっていたが、連なる場所にある2号機の方向性が決まっていなかったため、他の号機の設備の対応が定まっていなかった。今回、重油・原油を燃料とする4基全ての廃止が決定されたことで、解体・撤去の方針が固まったもようだ。
同火発の敷地全体の面積は約135万平方メートル。石炭を燃料とする5、6号機は引き続き稼働する一方、新たなプラント建設の予定はないという。1~4号機撤去後の跡地の利用法については、地元の意見も反映させる見込みだ。
一方、同火発には従業員112人が勤務しているが、同社は現時点で雇用は維持するとしている。町財政への影響についても町は施設立地からの時間が経過し、大規模償却資産税は少なくなっていることから、影響は小さいとみている。
遠藤智町長は1、3、4号機廃止時から同社への跡地活用への要望を続けているとして「地元への理解をもらいながら共生する事業活動を引き続き求めたい」としている。
同社は電力の安定供給と脱炭素社会の実現に向け、高経年化した火発設備を廃止し、最新鋭機の新設や建て替えを進めている。30日に広野火発2号機の他、姉崎火力5、6号機(千葉県市原市)、袖ケ浦火力1号機(千葉県袖ケ浦市)、知多火力5号機(愛知県知多市)の計4基を廃止した。

