【変革者たれ ふたば未来学園創立10周年】④ アスリート育成 実績、環境求め集う原石

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【変革者たれ ふたば未来学園創立10周年】④ アスリート育成 実績、環境求め集う原石

福島のニュース


トップアスリート系列を置くふたば未来学園は運動部をはじめ各部活動も目覚ましい活躍を続けている。6年間で力を磨くバドミントン、レスリングは全国有数の強豪として知られる。全国の若き競技者が輝かしい実績と整った練習環境にひかれて集い、世界を目標に切[せっ]磋[さ]琢[たく]磨[ま]している。
10面のコートが広がるバドミントン専用体育館。大会会場と見まがうような空間に、部員のシャトルを打つ音が響き渡る。強豪国インドネシア出身のコーチら指導陣が次代の日本を担う「原石」たちに高度な技術を伝授する。
福岡県出身の川野寿真さん(高校3年)は「トップレベルで戦いたい」と、中学からふたば未来学園を選んだ。世代のエースとして団体・個人で数々のタイトルを獲得。今夏の全国高校総体(インターハイ)では男子シングルスで頂点に立った。
部のルーツは東日本大震災と東京電力福島第1原発事故発生前の2006(平成18)年度に始まった「双葉地区教育構想」だ。富岡高=休校中=を基幹校とし、中高一貫で世界に通用するアスリートの育成を掲げた。
昨夏のパリ五輪には富岡高出身者5人が出場するなど「富岡魂」を胸に宿す数々の名手を輩出してきた。川野さんは「不[ふ]撓[とう]不[ふ]屈[くつ]の精神が富岡魂。世界で戦う先輩からもらう勇気や刺激が、今の自分の成長につながった。後輩たちにも、諦めない姿勢を大事にしてほしい」と伝統の継承を願っている。
進境著しい部活動の一つがレスリング部だ。マット2面を取れる練習場に専用トレーニング器具が並ぶ。高校開校に伴い創部してから10年。部員が国内外の大会を制するなど近年、存在感を高めている。
水戸市出身の筒井双さん(高校3年)は都内の中学を卒業し、成長できる環境を求めて高校から入学。ハイレベルな仲間と切磋琢磨してきた。強みを伸ばす指導方針の下で競技にのめり込み、才能を開花した。今夏のU―20(20歳以下)世界選手権女子55キロ級で3位に入るなど、国際舞台でも実績を積み重ねている。
トップアスリート系列で学ぶ他部の生徒ら、親元を離れてともに寮生活を送る友との触れ合いも刺激となっている。「教員や地域の皆さんが応援してくれる。周囲の温かさが競技に向かう力をくれる」と学校や地域の後押しにも感謝する。「スポーツで学校を盛り上げたい。『ふたば未来と言えばレスリング』と思ってもらえるぐらい活躍し、将来は五輪を目指す」とさらなる飛躍を誓った。