福島のニュース
農林水産省の「つなぐ棚田遺産」に認定されている福島県二本松市の西谷棚田で栽培した酒米を使った日本酒「大七
生酛特別純米酒
西谷棚田」が初めて完成し2日、現地で発表会が開かれた。日本の原風景を守ろうと、市内の大七酒造と地元農家が協力し、休耕田を再生させて造った。よみがえる里山で育まれた優しい味わいに、関係者は喜びを分かち合った。
棚田は3年前から大七酒造取締役の太田左恵子さんら有志が維持・存続を支援し、菜の花やホタルが舞う美田でコシヒカリなどを栽培している。新酒は昨年秋に初めて収穫した酒造好適米の山田錦を使い、伝統の生酛造りで仕上げた。コメの香り、手作りの棚田米ならではの穏やかな味わい、棚田にそよぐ風のようなすがすがしい喉越しが特長で、上質なこくのある中辛口。ラベルには緑豊かな棚田の写真をあしらった。
発表会に地元農家と大七酒造の関係者ら約40人が参加した。棚田の一角に祭られている田の神様に手を合わせて感謝し、全景を見渡す「棚田テラス」で製品をお披露目した。大七酒造の太田七右衛門社長、西谷棚田保全会の渡辺久司会長があいさつし、中山間西谷棚田集落の渡辺勝則会長と握手を交わした。全員で乾杯して完成を祝った。
太田社長は「ゼロからのスタートだったが、人々の思いがこもる、希望の象徴になった。継続して里山の光景を守っていきたい」と語り、渡辺久司会長らは山田錦の里づくりへ意欲を見せた。
「大七
生酛特別純米酒
西谷棚田」は720ミリリットル入り1980円(税込み)で約3千本を出荷。4日に県内、11月1日に県外で発売する。既に注文が相次いでいるという。

