11月4日立ち入り緩和 福島県双葉町の特定居住区域一部 帰還準備の利便性向上

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11月4日立ち入り緩和 福島県双葉町の特定居住区域一部 帰還準備の利便性向上

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東京電力福島第1原発事故に伴う特定帰還居住区域の避難指示解除に向け、福島県双葉町は11月4日に3行政区の一部で立ち入り規制を緩和する方向で調整に入った。住民が許可証なく自由に出入りできるように変わり、自宅などで帰還準備を進める。住宅がある地域の特定帰還居住区域では、初めての規制緩和となる。3日、町役場で始まった町政懇談会で伊沢史朗町長が示した。■防犯対策に巡回強化
規制緩和の対象は2026(令和8)年度の避難指示解除を目指す下長塚、三字、羽鳥3行政区の一部地域で、面積は計約110ヘクタール。
これまでは許可証の申請・所持を必要としていたが、区域内のバリケードを開放し、自由な立ち入りが可能となる。住民は自宅の片付けなどがしやすくなる。国や町はインフラ整備を加速させる。
自宅への宿泊は認められていない。このため、町は帰還準備のために町内の宿泊施設に泊まる際の費用を一部補助する。1泊当たり1人4500円で、約60世帯が補助対象となる。
対象区域では現在、除染が進み、9月中旬時点で34%が完了。平均放射線量は国が避難指示解除基準の一つとしている年間積算線量20ミリシーベルト(毎時3・8マイクロシーベルト)を下回っている。
一方、バリケードが開かれた後、誰でも出入りができる環境になる。被災地では不在家屋を狙った侵入や窃盗の犯罪が現在も起きており、防犯対策が課題となる。町は警察や防犯団体などと連携し、夜間を含めて区域内のパトロールを強化する。戸別巡回も実施し、地域の安全安心につなげる。
伊沢町長は町政懇談会の席上、「規制緩和は大きな前進。今後も国など関係機関と共に、避難指示解除に向けた取り組みを進めていく」との考えを強調した。
特定帰還居住区域は帰還困難区域のうち、特定復興再生拠点区域(復興拠点)から外れた地域の避難指示を解除するために設けられた区域。南相馬、富岡、大熊、双葉、浪江、葛尾の6市町村に設定されている。このうち、浪江町では区域内の墓地や、神社につながるアクセス道路の一部で立ち入り規制が緩和されている。■町、営農再開へ補助検討
双葉町は早ければ来年度にも、町内で営農を再開する個人や法人に対する補助制度を創設する方向で検討に入った。東日本大震災と東京電力福島第1原発事故発生前の1%未満にとどまる営農面積の拡大につなげる。3日の町政懇談会で伊沢史朗町長が示した。
作物の苗や資材の購入費の補助、担い手確保の支援などを想定している。補助制度の開始時期や金額など具体的な内容は今後詰める。
町政懇談会では町が今後のまちづくり計画などを説明した。29日まで県内外8会場で開かれる。