福島のニュース
昨年10月の衆院選直前、選挙区内の祭りに参加した団体に寄付したとして、公職選挙法違反(寄付行為)の罪に問われた元自民党衆院議員の亀岡偉民被告(70)の初公判は3日、福島地裁(島田環裁判長)で開かれた。亀岡被告は自身の関係団体「福島メセナ協議会」からの拠出金で寄付したとし、「寄付したのは私ではない。例年通りであり、衆院選とは全く関係ない」と無罪を主張した。
検察側は冒頭陳述で、現職衆院議員だった亀岡被告は昨年9月30日、衆院解散とそれに伴う選挙が10月に実施されると秘書から伝えられていたと指摘。10月3日以降に選挙区内の祭典事務所を訪れ、「衆議院議員の亀岡偉民です」などと名乗り「衆議院議員亀岡偉民」と記されたのし袋で現金を包み手渡したと述べた。表面に「福島メセナ協議会」、裏面には議員事務所の住所が記載されたのし袋も使っていたと説明した。衆院議員名義の名刺や、お祝い状を添えて配っていたとした。
衆院選の第一声を放った福島市のまちなか広場の使用に関し、秘書が市に対して協議会名義で申請書を提出していたことなども明らかにした。検察側は亀岡被告が福島メセナ協議会と衆院議員としての活動を一体化させていたとの趣旨の主張を展開するとみられる。
弁護側は現金を配ったのは協議会である上、「慣例に従ったもので、衆院選の時期に偶然重なったに過ぎない」と反論した。
次回は11月5日午前11時から、弁護側の冒頭陳述などを行う。
起訴状によると、亀岡被告は昨年10月3日ごろから13日ごろまでの間、福島市と二本松市で開催された祭り6件に参加した27団体に対し、会費名目で計25万円を寄付したとされる。
亀岡被告は2005(平成17)年の衆院選で初当選し、当選5回。文部科学副大臣兼内閣府副大臣などを歴任。政治資金収支報告書に2018年から5年間で計348万円の不記載があり、昨年4月に党幹事長注意の処分を受けた。同10月の衆院選で福島県1区に立候補して落選した。■亀岡被告の公選法違反事件を巡る経過【2024年】・10月3~13日ごろ
福島市と二本松市の祭り6件に参加した27団体に対し、会費名目で計25万円を寄付したとされる・10月15日
衆院選公示。亀岡被告が福島県1区に立候補・10月27日
衆院選投開票。福島県1区で落選・12月26日
県警が公選法違反(寄付行為)の疑いで書類送検【2025年】・3月27日
福島地検が公選法違反(寄付行為)の罪で在宅起訴・10月3日
福島地裁で初公判。亀岡被告は起訴内容を否認し、無罪を主張■衆院選の年、寄付額倍増か
検察側は証拠調べで、亀岡被告が福島市内の団体には2001(平成13)年ごろから、二本松市内の団体には2023(令和5)年から各5千円を寄付してきたと指摘した。
衆院選が実施された2024年には、それぞれの寄付額が倍増し1万円となった事例があったと明らかにした。
各団体は亀岡被告が「衆議院議員亀岡偉民」や「福島メセナ協議会」と記載されたのし袋を保管しており、寄付台帳に金額などを記録していたという。■被告
協議会、議員の活動は別物
亀岡被告は閉廷後、報道陣の取材に応じた。福島メセナ協議会と衆院議員としての活動が一体化していたのではないかと問われ、「(それぞれは)全くの別物。(福島メセナ協議会の)役員も何もやっていない」と否定した。
昨年10月の衆院選の第一声で使用した広場に関し、亀岡被告の秘書が協議会名義で使用申請をしていたことについての認識を問われると「全く知りません」と断言した。
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福島地裁の203号法廷の傍聴席は、抽選で選ばれた傍聴人と報道関係者で埋め尽くされた。亀岡被告は黒のスーツに青のネクタイを締めて出廷。冒頭の罪状認否で島田裁判長に起訴内容について聞かれると「私は無実です」とよどみなく、はっきりとした口調で答えた。被告人席に戻ると時折、資料に視線を落としながら、検察側の冒頭陳述に耳を傾けていた。

