福島のニュース
福島県のふたば未来学園の校舎の中央部に広がる地域協働スペース「双葉みらいラボ」では、中高生が思い思いの時間を過ごす。一角の飲食店「カフェふう」などが先輩・後輩、地域住民との絆を育む場となっている。
ラボには教育現場の課題解決を目指す認定NPO法人カタリバ(東京都)のスタッフが常駐する。地域と連携し、学びと育ちを支える「サードプレイス(第3の居場所)」としての機能が狙いだ。保護者や教員、友人のいずれとも異なる「ナナメの関係性」を生徒たちと結んでいる。
カタリバとふたば未来学園の協働は、2017(平成29)年に始まった。当時の在校生の多くは東日本大震災と東京電力福島第1原発事故に伴う避難の記憶が色濃かった。慣れない土地で生活するストレス、学習の遅れなどに悩む生徒も少なくなかった。ラボは学校生活の不安を和らげ、居場所を提供する目的で設けられ、現在に至る。
ラボは平日放課後、午後7時30分まで滞在できる。授業や部活を終えた生徒が一息入れに来る。集まった者同士で会話を楽しんだり、自習したり…。近隣住民らも顔を出し、連携の芽が生まれている。カタリバのディレクター横山和毅さん(37)は常駐スタッフとして生徒を見守ってきた。「ラボの認知度は徐々に高まっている」と定着に手応えを口にした上で「学校生活を豊かにするとともに、地域に元気や楽しさを届けたい」と発展を誓う。
地域へのまなざしは生徒も共有している。「カフェふう」は社会起業部のカフェチームが主体となって営み、月・水・金曜は一般利用も受け付けている。地場産品を使ったメニュー考案やイベントを通して「地域を知る・伝える・盛り上げる」活動を目指している。
生田目陽[ひ]源[げん]さん(3年)は部長としてカフェ運営に情熱を傾けてきた。コロナ禍では校外の利用者が大きく落ち込む中、地域の行事を見つけては出店・協力を続けてカフェの存在をアピール。学校と地域のつながりを保とうと努めてきた。
カフェに携わり、地域の人々と触れ合う楽しさを実感してきた。「自分にとって一番学びが多く、青春の瞬間を過ごした場所」と活動を誇り、「経験を生かして経営を学び、将来は自分の店を持ちたい」と夢を描いている。「未来」を校名にいただく学園で過ごした3年間、6年間で得た学びを胸に、一人一人が人生と地域を切り開いていく。=終わり=

