福島のニュース
年代、性別を超えてバトンをつなぐレースで「陸上王国」の力を見せつけた。滋賀県彦根市で7日に行われた「わたSHIGA輝く国スポ」陸上競技成年少年男女混合1600メートルリレー。福島県代表は一体の走りで3分18秒67、大会新記録で頂点に立った。2位との差0秒01、3位まで大会新の激戦を制し、エース松本奈菜子(東邦銀行)は「皆の勝ちたい思いが後押ししてくれた」と感慨に浸った。旧国体時代を含め県勢のリレー種目の戴冠は17年ぶり。「チーム福島、一丸で優勝できて本当にうれしい」とフィナーレを飾った。
6日の予選と同じ長谷川桜介(日大東北高3年)と小野莉瑚(郡山東高3年)、金森瑛(仙台大4年、東日大昌平高出身)、松本で決戦に臨んだ。「1番でバトンを渡す」。1走長谷川は絶好の飛び出しで2番手につけ、先頭の千葉との差を直線で詰めてほぼ同時にバトンを小野へ。小野は順位を下げながらも「金森さんが何とかしてくれる」と信じて食らい付いた。
3走金森は5、6番手あたりでバトンを受け、すぐさま巻き返した。滑らかなコーナリングで外から次々前を抜き、京都との先頭争いに。バトンゾーン付近で混戦の末、「全員抜かしてくれ」と4番手で託した。
経験豊富なアンカー松本はコーナー終盤で一つ順位を上げて最終直線へ。千葉と兵庫との三つどもえのデッドヒートを繰り広げた。世界選手権でも個人、団体種目の400メートルで躍動した国内第一人者は「絶対に抜かす」。ゴール直前で千葉をかわし、兵庫と並ぶようにフィニッシュ。電光掲示板に「1」の文字が示されると跳び上がって喜んだ。
高校、大学勢3人は「松本さんは日本を代表するランナー。一緒に走る機会はないかもしれない」と意気込んでリレーを迎えた。大会期間に入ってからバトンパスの息を合わせてきた。努力を知る松本も「3人と走れて楽しかった。頑張ってくれてありがとう」と後輩の奮闘をねぎらった。
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リレー種目の県勢の優勝は2008(平成20)年大分国体・女子共通400メートルまでさかのぼる。陸上関係者も久々の栄冠が今後の強化に向け、弾みとなると歓喜している。
今大会の陸上チームを率いた岡本拓矢監督(48)は「成年選手と少年選手が一緒に戦えるのは国民スポーツ大会だけ。大会の魅力を引き出した走りだった」と優勝の意義を強調した。
コーチ陣は選手の調子や他都道府県の戦力を細かく分析し、ベストな4人を選出。丁寧なパスワークを追求してきた。岡本監督は大会新で走った予選で優勝への手応えを感じたという。「レース映像を見た県内の若手に憧れを与え、意欲をかき立ててくれる」と選手育成面でのプラス効果を期待した。会場で勇姿を見届けた福島陸協の根本寿実会長(63)は「チーム福島の力を示してくれた。次代の刺激になる」とたたえた。

