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公明党の斉藤鉄夫代表は10日、自民党の高市早苗総裁と会談し、自民との連立政権から離脱すると伝えた。派閥裏金事件の真相解明や企業・団体献金の規制強化を中心とした「政治とカネ」問題への自民の対応が不十分だと判断した。石破茂首相の後継を選ぶ首相指名選挙では高市氏に投票しない。選挙協力は白紙化する。早期の政権発足を目指す高市氏にとって打撃となった。日本の政治状況がさらに不安定化するのは避けられない。
公明は1999年10月に自民、自由両党連立政権に参加。野党に転落した時期を除き、自民を中心とした連立に加わってきた四半世紀の歴史に幕が下りる。公明は石破政権の間は連立にとどまる。次期首相の指名選挙を区切りに離脱する方向だ。首相指名では斉藤氏に投票し、閣外協力は行わない。
斉藤氏は記者会見で、高市氏との会談を巡り「政治とカネに関する基本姿勢で相違があった」と説明。裏金事件に関係した旧安倍派の萩生田光一氏を幹事長代行に起用した人事を問題視した。裏金事件を決着済みとする自民の対応を「国民の感情と懸け離れており、政治への信頼回復はおぼつかない」と批判した。
選挙協力に関しては「自民の不祥事を国民に説明し、応援することに地方議員を含め限界が来ている」と強調した。自民候補への推薦は取りやめる。ただ予算案や法案については政策ごとに判断する。2025年度補正予算案が提出された場合の対応を巡り「われわれの主張が認められれば賛成する」とした。
一方、高市氏は、会談で公明側から企業・団体献金の受け皿規制案への賛否を直ちに示すよう迫られたと記者団に明かした。党内手続きが必要だとして来週の再会談を申し入れたが、一方的に連立離脱を伝えられたと不満を示した。
会談では、高市氏から総裁が代われば連立維持もあり得るのかただしたところ、公明側は「誰が選ばれても同じだ」と答えたという。高市氏は記者団に、連立離脱を「大変残念だ」とした上で、首相指名を得られるよう臨時国会召集日まで最大限努力すると語った。■復興、選挙に影響か
自民県連幹事長「県内は関係維持すべき」
公明県本部幹事長「県政与党の責任果たす」
自民党と公明党のあつれきは、県内でも国政選挙の際に見え隠れしていた。自民の派閥裏金問題が明るみになって以降、公明の支持母体からは自民公認候補への選挙協力に否定的な意見が相次いだ。今夏の参院選で公明党県本部は自民現職を推薦せず「強力なる心情的支援」にとどめたのが最たる例だ。
今後の各種選挙への影響は必至の情勢で、東日本大震災と東京電力福島第1原発事故からの復興施策の停滞を懸念する声も上がる。自民党県連の矢吹貢一幹事長は「選挙に大きな影響が出るのは間違いない」とする一方で、県連の対応方針は現時点で未定と前置きし「県政では自公が長く協力関係を築いてきた。中央で連立を解消したとしても、県内では関係性を維持していくべきだ」との考えを示した。
公明党県本部の伊藤達也幹事長は、連立与党としての強みを生かし福島・国際研究産業都市(イノベーション・コースト)構想の立案と具現化に公明が中心的役割を担ってきたと自負。除染廃棄物の県外最終処分や原発の廃炉など復興課題が山積しており「県政与党として引き続き責任を果たしていく」と強調した。自民県連との選挙協力については現段階で白紙とした上で「今まで培ってきた信頼関係に基づき協議したい」とした。

