100年前の文豪らの振る舞い伝える 作家久米正雄撮影の映像フィルム修復作業完了 福島県郡山市

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福島県郡山市ゆかりの作家久米正雄が撮影した映像フィルムの復元に取り組んでいた市は全ての修復作業を完了した。創作への厳しい姿勢から「文学の鬼」と呼ばれた作家宇野浩二(1891~1961)が映像として初めて確認され、約100年前の文豪らの振る舞いを捉えた貴重な資料として歴史的な価値が示された。
市が11日、市役所で修復事業の成果報告会を開いた。修復を進めていたフィルムは8本。このうち、約37秒のフィルムは1924(大正13)年4月24日に撮影され、出版社が作家に随筆を執筆してもらうため企画した小旅行で、川崎市の多摩川を訪れた様子が写っている。宇野がビールを手にほほ笑む様子が捉えられていた。宇野をはじめ吉井勇、久保田万太郎、牧野信一ら大正期の文壇を代表する作家が多数写っている。
修復・調査に協力した横浜市立大の庄司達也教授(日本近代文学)は「復元されたフィルムからは当時の作家が作風や関係性を超えて親密に交流していた様子がうかがえ、大変貴重な文化資源だ」と評価した。
フィルムは市が1998(平成10)年に久米の親族から購入した。これまで内容を確認できたフィルムには芥川龍之介や田山花袋を捉えた映像が見つかった。