福祉避難所に民間ノウハウ 福島県、阪急交通社(大阪)と連携 開設・運営の職員育成18日、白河市で初訓練

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災害発生時に高齢者や障害者、妊婦らが身を寄せる福祉避難所の開設・運営に関し、福島県は民間のノウハウを活用し、自治体職員の人材育成を図る。能登半島地震の際に福祉避難所運営の実績がある阪急交通社(大阪市)と連携する。各自治体では福祉避難所への知見を持つ職員が不足している。取り組みを通じて関わる職員の裾野を広げ、態勢を強化する。18日に初の避難所開設訓練を行う。
災害対策基本法は、福祉避難所となる施設を事前に指定するよう各自治体に求めている。県内では高齢者施設や宿泊施設など計450カ所が指定されている。ただ、大規模災害などで被災者が想定を上回った場合、体育館や集会所などを福祉避難所として運用することも想定される。
高齢者や障害者は生活環境の変化の影響を受けやすく、ベッドや車椅子など資機材の配置が必要となる。県の調査では、社会福祉士や介護福祉士ら要配慮者を支援する専門人材の確保が全市町村の3割程度で進んでおらず、緊急時のマンパワー不足も懸念される。
阪急交通社は、防災士の資格を持つ社員ら約50人で構成する災害時の自治体支援に当たる専門チームを有する。昨年1月の能登半島地震では、金沢市で高齢者や要介護者を対象とした一時避難施設を運営した実績がある。被災自治体の要請に応じ、連携するレンタル会社を通じて電動ベッドや車椅子の利用者が入れる浴槽などを調達。看護師や介護士などの資格者も専門人材登録機関から派遣する仕組みだ。レンタル料や人件費などの費用は県や自治体で負担する。同社は千葉県や宮崎県などと連携協定を締結。県とは6月に結んだ。
西郷村は村内の高齢者施設など17カ所を災害時の福祉避難所に指定している。一方、これまで開設したケースはなく運営体制への不安を抱えている。村防災課の担当者は「村だけでは対応にも限界があるので、外部からの支援があれば助かる」と期待した。
開設訓練は18日に白河市で開かれる県総合防災訓練に合わせて初めて実施する。会場となる市内の体育館に福祉避難所を開設する想定で、資機材の配置や準備までにかかる時間などを自治体職員とともに確認する。県災害対策課の吉村哲哉主幹は「福祉避難所の運営ノウハウを持つ職員の養成につなげたい」としている。