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児童詩誌「青い窓」創刊者の一人で詩人の故佐藤浩さん(福島県郡山市)の半生や詩集誕生までを描いた絵本「青い窓からひろがるうた」が佐藤さんの命日に当たる10日、約40年ぶりに復刊した。子どもたちが自由に表現できる場をつくるために尽力した佐藤さんの人生を伝えようと、遺志を継ぐ「青い窓の会同人」が戦後80年の節目に企画した。関係者は「子どもの心を育んできた佐藤さんの生き方に触れてほしい」と願う。
佐藤さんは代用教員だった戦時中、児童詩と出会い、子どもの豊かな感性に感銘を受けた。学校内でも自由な表現が制限された社会情勢に苦しみ、教職を退いた。戦後、失明を乗り越えて仲間と共に「青い窓」を創刊した。書籍は1981(昭和56)年に出版されたが、約40年前に絶版となった。佐藤さんは2008(平成20)年、86歳で死去した。
戦後80年を迎えた今年、自由な感性と表現の喜びを育み、平和の尊さを伝えるため、青い窓の会が小学館から1500部を自費出版した。このうち600部は県内の小中学校、義務教育学校、教育関連施設に寄贈する。活動を支援してきた柏屋の各店での販売も検討している。
会の関係者が14日、郡山市役所を訪れ、市に80部を寄贈した。代表の橋本陽子さん(柏屋総務支援部青い窓館長)が椎根健雄市長に図書を手渡した。
橋本さんは詩を楽しんで書いたり読んだりできるのは「平和な世の中だからこそ」と強調。「大人が平和な社会をつくり、子どもたちが自由に思いを発信できる環境を守りたい」と話した。青い窓の会同人の本名善兵衛さん(柏屋会長)と篠崎拓さん(アルス・プログレス社長)が同席した。

