福島のニュース
福島県内最大の栽培面積を誇る喜多方市のそば文化を盛り上げようと、市職員でつくるそば打ち集団「KITAKATA役所のそば衆~蔵とラーメンとそばと愛~」が活動を始めた。喜多方のそばは地域ごとに特色があり、各家庭でそばを打つ食文化が根付く。一方、高齢化などで打ち手は減少傾向にある。危機感を抱いた有志が立ち上がった。イベントへの出店や活動の様子を交流サイト(SNS)で発信するなどしてそばの魅力を伝える。初陣として18、19の両日開催の山都新そばまつりに出店し手打ちそばを提供する。
「初めてとは思えないくらい上手だね」。喜多方市熊倉町の「おぐに交流の郷」に、にぎやかな声が響く。初心者から有段者まで27人が加わり、9月下旬から計3回打ち方の練習会を開いた。有段者の職員が初心者に生地のこね方から切り方まで丁寧に指導した。
同市の2024(令和6)年のソバ作付面積は912ヘクタールで全国7番目、本州では福井県坂井市に次いで2番目に広い。地域ごとに打ち方やつゆに特色があり、身近な食として親しまれている。関係者によると、詳細な統計はないが、市内のそば店は減少傾向にある。市内に七つあるそば打ち団体の会員数も減っており、活動が難しいケースも。県内を代表する山都新そばまつりの規模も縮小傾向で、2019年に出店数8店で約6千食だった提供数は昨年は4店で約3300食まで減少した。
メンバーは「あなたのおそばに」をキャッチコピーにイベントへの出店、SNSでの情報発信などを担う。そば打ちの練習会を継続しながらメンバーを増やし、そば文化の継承を目指す。市内の子どもたちや観光客向けのそば打ち体験講座などを開き、新たな打ち手とそばの関係人口増加につなげたい考え。打ち手の中から将来、市内でそば店を継承したり、新規開店したりする人が出てくることにも期待する。
山都新そばまつりを主催する山都三大そばまつり実行委員会委員長の平野茂夫さん(77)は近年、盛り上がりが下降傾向だと感じている。「若い人たちが出てくれることは多様なそばを楽しめる機会につながる」と歓迎する。プロジェクトの発起人でそば衆代表を務める市商工観光課兼そば課の小檜山美奈係長(42)は「そばを身近に感じ広く興味を持ってもらい、そば打ちの楽しさや魅力を伝えることで、喜多方のそば人口増加のきっかけにしたい」と意気込む。■公式インスタ開設
市そば課
「KITAKATA役所のそば衆」は市内のそば店やそば道具屋などでつくる「そばの郷喜多方創造会議」に加盟した。創造会議の事務局を担う市そば課は8月に公式のインスタグラムを開設し、市内のそば店や各地域のそばの特徴などを紹介している。

