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住宅用太陽光パネルで国内トップシェアの長州産業(山口県)は、福島県楢葉町にパネルを製造する「東日本工場」を新設する。14日、同社が発表した。楢葉北産業団地にある旧アンフィニ福島工場(同町下繁岡)の土地と建屋を既に取得し、来春の開設、秋の稼働開始を目指す。2022(令和4)年の旧アンフィニの破産後、課題となっていた跡地利用が前進する。
長州産業は工場の土地と建屋を、アンフィニの破産後に所有していた産業廃棄物処分・収集運搬業「和幸」(千葉県)から10日に購入した。建屋は鉄骨造り2階建てで延べ床面積は約1万7千平方メートル。開設後の東日本工場では年間、発電量に換算して約200メガワット分のパネルを生産する。将来的には800メガワットへの増産も視野に入れる。稼働に伴い地元を中心に従業員50人を新規雇用する予定。
同社は現在、山口県山陽小野田市の本社工場でパネルを製造している。需要の高い首都圏への輸送費を減らせる東日本への生産拠点新設を模索していた。国内外での需要の拡大予測を見込み、楢葉町への進出を決めた。東日本大震災と東京電力福島第1原発事故からの復興への貢献を目指す。
同社は1980(昭和55)年の創業。主に太陽光発電システムの製造・販売を手がけ、国内に4カ所の工場、国内と米国、中国に13の支店・営業所を持つ。同社によると、住宅用太陽光パネルの国内シェアは約15%で、昨年度まで4年連続業界首位に立っている。
旧アンフィニ福島工場は2017(平成29)年に建設された。翌年以降に中国製の安価な製品が国内に流入し、競争力を失った。2022年9月に民事再生法適用を申請し、その後、破産した。和幸が工場の土地と建屋を取得し、利用する事業者を探していた。
楢葉町の松本幸英町長は「町の復興や経済活性化、雇用創出、産業育成を促進する機会と捉えている」と工場進出に期待を寄せており、町として従業員の確保や地元企業との交流を後押しする考えだ。

