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福島県会津若松市在住の医師田代知輝さん(35)は今月、市内に在宅医療専門の「会津ホームケアクリニック」を開いた。高齢化社会が進む中、通院が困難な人への診療や、終末期のケア、退院後の医療管理など、在宅医療の需要は高まっている。「人生がより良い方向に向かうよう、患者一人一人と向き合い、その人に合った医療を提供したい」と情熱を燃やす。
田代さんは弘前市出身、東北大医学部卒。3年ほど前、会津若松市の新型コロナウイルス専用クリニックに勤務して以来、市内の医療機関に在籍していた。総合診療を担う医師を目指していたが、会津若松市が在宅医療専門医療機関の空白地域に等しい現状にあるのを受け、「地域に貢献できる」と開院を決意した。
診療科目は多岐にわたるが、田代さんは「必要なのは医療技術だけではない。病気だけでなく、人をみないといけない」と話す。生活環境など、患者を取り巻く状況を把握し、診療に当たる。
「(患者の)人生がより良い方向へ舵を切ったと思える時、幸せに関われたと思う時、やりがいを感じる」という。例えば、高齢者の肺炎などが重症化する前に対応することで、長期入院や命に関わるリスクを防ぐ。大好きな自宅で最期を迎える末期がん患者をみとることもある。
カルテ管理、オンライン診療などに情報通信端末を駆使する。現在、市内を中心に35人の患者を受け持つ。「いずれは医師を増やし、100人程度を診療できるようにしたい」と話す田代さん。病院と診療所の連携を円滑にするシステムの構築も目指す。「在宅医療専門の医者がいることで、地域の人々の安心につなげていきたい」と前を見据えている。◇会津ホームケアクリニック
▽住所=会津若松市花畑東5の7
北都ビル2階▽メール=aizu.houmon@gmail.com
ホームページも開設している。(会津版)

