「あしなが高校奨学金」今年度申請数 福島県内62人で過去最多 物価高、家計厳しく 財源に限り、4割不採用

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「あしなが高校奨学金」今年度申請数 福島県内62人で過去最多 物価高、家計厳しく 財源に限り、4割不採用

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遺児や親に障害がある高校生を支援する「あしなが高校奨学金」の2025(令和7)年度の福島県内申請は締め切られ、62人で過去最多になった。背景には物価高によって厳しさを増す家計の現状がある。財源に限りがあり、申請のうち4割は不採用となった。あしなが学生募金事務局は18日に福島県郡山市のJR郡山駅前西口、25日に福島市のJR福島駅前東口で募金活動を展開する。
近年の申請数と採用率は【表】の通り。奨学金の制度が返還の必要がない全額給付となったため、2022年度に23件だった申請数は2023年度に倍増した。申請数の急増で一時採用率は5割を切った。2025年度は募金額の増加によって前年比20ポイント増の62・9%になった。
奨学金を運営する「あしなが育英会」によると、採用率の低さが報道され、街頭募金額の増加につながったという。担当者は「物価高に苦しんでいるのに奨学金を受けられない子どもがまだまだいる」と苦渋の表情を浮かべる。
2024年秋に育英会が実施した生活実態調査には、県内の保護者から「水道光熱費や家賃の支払いが追いつかない」といった切実な声が寄せられた。
今春には高校授業料の無償化が実現した。「授業料がかからないのだから、もう支援の必要はないのではないか」などと誤解も交流サイト(SNS)上で見られ、育英会は奨学金の必要性を丁寧に発信し続けている。学生募金事務局の佐々木朝陽福島県代表は「金銭的な理由で夢を諦めることのない社会になってほしい」と思いを込める。
18日と25日の募金活動の時間は両日とも正午から午後5時まで。※あしなが高校奨学金
病気や災害などで親を亡くしたか、親に障害がある高校生に月額3万円を給付する。あしなが育英会が運営し、学生団体のあしなが学生募金事務局などが展開する街頭募金や振り込みによる寄付などを原資としている。