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福島県只見町の宿泊施設「季の郷湯ら里」と自動車などの鋳物部品製造の会津工場(只見町)が連携し、フードロスをなくす取り組みを始めた。湯ら里の朝食バイキングで客が取らなかった総菜などの料理を会津工場が買い取り、本社の従業員約130人向け昼食としてパック詰めして格安で提供している。湯ら里側は食材の廃棄量を減らせる上、会津工場側は従業員の健康管理や福利厚生に役立てられる。地域で「もったいない」の機運を高めるモデルケースになりそうだ。
朝食バイキング終了後、湯ら里の黒沢俊光料理長(56)らが豆腐やサラダ、おでんなどを大小のパックに移す。スタッフが町内の会津工場に運び、食堂の冷蔵庫内に並べる。
湯ら里は宿泊客や住民らに毎朝、バイキング形式で食事を提供しているが、総菜などが余り、廃棄量は1日5~6キロに達していた。フードロス削減のため、会津工場に食材提供を持ちかけた。会津工場の食堂にはカップ麺やパンなどの自動販売機があるだけで周辺に飲食店が少ない。働く人が安心して食事ができるよう、申し出を快諾。9月下旬に取り組みが始まった。
会津工場の食堂では月曜日から金曜日まで、おでんなどを入れる大きなパックは50円、豆腐や漬物などの小さなパックは2個50円で販売。夕方以降は無償で提供している。以前は弁当を持参していたという従業員の五十嵐由美子さん(68)は、「今はご飯だけを持ってきて総菜を購入して、おかずにしている。とても助かる」と話す。
黒沢料理長は「食材を無駄にしなくて済む。料理を食べてもらえてうれしい」と語る。湯ら里は今後、総菜だけでなく、ご飯の提供などを検討するという。

