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福島県の会津若松市河東支所で17日に開かれた、熊被害を巡る県の緊急連絡会議では、県野生動物調査専門官で獣医師の溝口俊夫氏が今季の特徴を解説した。被害抑止には情報に基づいた対策が重要だとして「住民には『ここはどうせ出没が多い地域』といった慣れの認識を改め、熊の痕跡を関係機関に伝えてほしい」と語った。
会議は会津地方で16日に人身被害が相次いだため開かれた。溝口氏は「十数年に一度の異常事態」と強調した。目撃件数は例年6月にピークを迎えるが、今年は6月以降も多いまま推移しているという。
背景には餌不足がある。県の調査によると、ブナやミズナラ、コナラは会津地方でいずれも「凶作」となっている。これまで朝夕に集中していた目撃が、現在は昼間も多くなり、秋以降も市街地に出没する懸念があるという。
溝口氏によると、熊の出没増加によって地域住民が慣れてしまい、行政などに伝えなくなるという。被害防止には足跡やふん、獣道など痕跡の情報共有が欠かせないとした。
会議に出席した会津地方の市町村、警察、教育施設の関係者からは熊対策について質問が相次いだ。「人の頭を襲う傾向はあるか」との問いに、溝口氏は「仮説」と断った上で「人の目に反応しているかもしれない。襲われた時は顔面と頸部を守ってほしい」と話した。
「(警戒用の)花火を多用すると効果は薄まるか」との質問には「定期的に使用すると熊は慣れる可能性がある。集落で調整するなどして打ち上げに変化を付ける必要がある」と助言した。(会津版)

