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福島県喜多方市の五十嵐詩織さん(35)は「八タ」の屋号で親しまれてきた喜多方市1丁目の酒店「五十嵐太右エ門」を約10年ぶりに復活させた。当時の面影を残しながら、日本酒や各地のクラフトビールに加え、同店の蔵に眠っていた酒器などを販売している。
店は明治時代中期に砂糖や小麦粉の問屋として開業した。その後、「五十嵐太右エ門商店」として酒の卸業などを行っていたが、五十嵐さんの夫史憲さん(33)の祖父が入院したことを機に店頭での販売を終了した。
新たな店の店主を務める五十嵐さんは大学卒業後に地元喜多方市のギフト店で販売や営業などを担当した。「もっと作り手の思いを伝えながら販売がしたい」と独立を決意。店を探していたところ、史憲さんの実家である同店を新たな店舗の候補に決めた。史憲さんと共に物が散乱した店内を片付け、一部の天井を剥がしたり店裏の蔵にあった木材などを再利用して棚を作ったりと手作業で修繕し、7月中旬に店を開いた。
店内では市内で醸造された日本酒をはじめ、全国各地のクラフトビールを並べている。蔵を整理した際に出てきた戦前に作られた焼き物など、貴重な酒器やガラス製品も取り扱っている。今後は店内でマルシェや作家のポップアップなども開きたい考えだ。五十嵐さんは「あるものを大切にしながら、地域の人が集う縁側のような空間にしたい」と意気込む。住所は喜多方市1丁目4605。不定休で営業時間は午前10時から午後5時まで。問い合わせは同店へ。(会津版)

