県建築文化賞観光資源に DC控え誘客強化 浜、中、会津に周遊コース 福島県

  • [エリア] 須賀川市 矢吹町

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ダムや橋などを巡る「インフラツーリズム」の推進に向け、福島県は新たに県建築文化賞の歴代受賞施設を活用した周遊・滞在型観光を展開する。浜通り、中通り、会津の3地方ごとに、景観形成などに大きな役割を果たしている優れた建築物の見学を軸にしたモデルコースを設定。周辺の観光資源と組み合わせ、地域の魅力を堪能してもらう。来年春の大型観光企画ふくしまデスティネーションキャンペーン(DC)の実施に当たり、福島県の多彩な観光の一つとして発信し、誘客につなげる。
県と福島民報社などが主催している県建築文化賞では、周辺環境に調和し景観上優れた公共、民間の建築物をたたえている。受賞施設は1982(昭和57)年度の初回以降計340点に上り、種類は庁舎、事務所、文化・スポーツ、教育、福祉など幅広い分野に及ぶ。このうち、過去10年間で最高賞の正賞に選ばれた施設は【表】の通りで、各地域のまちづくりの拠点などになっている。
県は浜通り、中通り、会津地方の各地に広く存在する受賞施設をインフラツーリズムに組み入れることで全域での相乗効果を生み出したい考え。観光客らに見学などを通して建築物の優れたデザインや工法だけでなく、各地域の文化や歴史などにも理解を深めてもらう。産業に触れるなど独自の体験ができる施設もあることから、周辺の温泉や名勝地などと合わせたテーマごとの旅行コースを検討する。
復興に向けて歩む福島県の姿を国内外に発信する狙いもある。2021(令和3)年度に正賞を受けた「須賀川市民交流センター
tette(テッテ)」は市民の文化復興のシンボルとして評価された。各施設の建築の経緯など地域再生の取り組みを伝えることも視野に入れる。
来年度は県内でDCが開催されるとともに県政150周年記念の年でもあることから、福島県の多種多様な魅力を地域を代表する施設を通して伝える。今後は東京都内で開催している県の観光商談会でもツアー商品として売り込む。県まちづくり推進課の伴野史典主幹兼副課長は「多くの人に福島県に来てもらえるよう素晴らしい建築物を観光に加え、県内の魅力を伝えていきたい」としている。









県建築文化賞を主催する県の内堀雅雄知事と福島民報社の芳見弘一社長は29日、インフラツーリズム(建築文化編)のモデルコース視察のためテッテなどを訪れ、浜通り、中通り、会津のモデルコースを発表する。【過去10年間の県建築文化賞正賞受賞施設】▼2024年度=浦尻貝塚
縄文の丘公園
貝塚観察館(南相馬)▼2023年度=みなみあいづ森と木の情報・活動ステーション
きとね(南会津)▼2022年度=たまかわ観光交流施設
森の駅yodge(ヨッジ、玉川)▼2021年度=須賀川市民交流センター
tette(テッテ、須賀川)▼2020年度=新型コロナウイルス感染拡大防止のため審査中止▼2019年度=天正坦のアトリエ(郡山)▼2018年度=矢吹町営中町第二災害公営住宅(矢吹)▼2017年度=あぶくま更生園(田村)▼2016年度=はじまりの美術館(猪苗代)▼2015年度=矢吹中(矢吹)