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福島県郡山市出身で芥川賞作家の鈴木結生さん(24)=福岡市在住=の講演会は26日、福島市の民報ビルで開かれ、書店の思い出や読書の魅力などを語った。
県内の書店と福島民報社でつくる「いちおし会」の主催で、福島民報の読書企画「今週のいちおし」の千回到達記念イベント。
鈴木さんは読書について「本の内容を全て理解しなくてもいい」とし、古典文学を例に「難解さがあるから研究や解釈され、現在も読まれ続けている」と述べた。一方で、本を理解した心境を「読破後、作者の描いた世界が見え、本が自分の中に入ってきた感覚」と表現した。「ページをめくる手が止まらない本が私の求める本。読者にもそう感じてもらえる本を書いていきたい」と展望を語った。
質疑応答では、聴衆から芥川賞受賞作「ゲーテはすべてを言った」など作品の感想や執筆のこだわりなどについて質問があった。
会場では岩瀬書店(本社・福島市)や福島市の西沢書店、SASYU鎌田店がブースを構え、鈴木さんの本を中心に販売した。終了後、書籍購入者向けのサイン会が行われた。
「今週のいちおし」は毎週土曜日の福島民報読書欄に、県内の書店員が週替わりでお薦め本を紹介している。2006(平成18)年4月1日にスタートし、9月13日に千回目を迎えた。

