23年WBC日本代表ヘッドコーチ・白井一幸さんが講演 いわき石川JC創立45周年記念事業

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23年WBC日本代表ヘッドコーチ・白井一幸さんが講演 いわき石川JC創立45周年記念事業

福島のニュース


2023(令和5)年のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で野球日本代表ヘッドコーチを務めた白井一幸さんの講演会が1日、福島県石川町の母畑温泉八幡屋で開かれた。白井さんは「目的」を設定し、「強い思い」を持ち続ける大切さを説いた。
いわき石川青年会議所(JC)が創立45周年記念事業の一環として催し、約100人が参加した。白井さんは「夢が未来を変えていく」をテーマに、WBCでの経験や大谷翔平選手との交流について語った。【講演会の詳報】
侍ジャパンのような、最高のチームを作るためには3つの要素が重要だ。一つ目はチームのゴールを明確にし、全員がそのゴールを認識すること。二つ目は目標達成のために全員が与えられた役割と責任を果たすこと。三つ目はゴールを軸にして「自分がまずやる」こと。侍ジャパンにはこの3要素がそろっていた。
侍ジャパンの選手選定で重視したのは能力よりも思いの強さだ。例えば巨人の岡本和真選手。彼は当時調子が良くなく、選ばれる予定ではなかった。ただ、私がチームを訪れた際に「自分を選んでくれたらどんなことだってやる。世界一に貢献したい」と熱い思いをぶつけてくれた。結果として大会でも大活躍した。達成したい、成長したいという思いがあれば、能力は後から付いてくる。
目標と目的の違いも伝えたい。目標とは世界一とか何勝するとか、数値化して達成したかどうか一目で分かる具体的なもの。目的は理念やビジョンといった抽象的なものだ。目的が無ければ、目標を達成しても燃え尽き症候群になる。WBCで世界一を達成した後にそうなった選手もいる。
ただ、大谷翔平を見てほしい。彼は世界一を成し遂げてもなお、成長を続けている。それは彼が目標ではなく目的達成型の選手だからだ。「何を目指しているのか」と聞いたことがあるが、彼は「世界で最も愛され、応援され、影響力のある選手になること」だと教えてくれた。この目的には終わりがない。だからこそ彼は成長し続ける。こうした「目的」や「強い思い」を大事にしてほしい。(県南版)