福島のニュース
反社会的勢力への資金提供が明らかになったいわき信用組合(本部・福島県いわき市)。これまでにも顧客を巻き込んだ不正融資など、金融機関としてあるまじき行為が次々と露呈した。一連の不祥事が最初に公表されてから15日で1年となるが、信頼は回復するどころか失墜の一途をたどっているのが現実だ。業務改善に向けた取り組みに対しても利用者らからは厳しい目が注がれている。
鍵となる対策の一つが、「いわしん再生・改革プロジェクト」だ。22歳から41歳までの若手・中堅職員19人のメンバーによって7月に始まり、「企業風土」「業務体制」「融資営業」のテーマ別で経営陣に向けた提案書の策定を進めている。9月には外部有識者が理事会の適切な運営の検証と評価、適切な業務執行の指導や提言などを行う「経営監視委員会」の会合も開催された。組織内外から企業風土刷新を目指す。
ただ、今回新たに反社への対応に関する組織的な意識の欠如が浮き彫りとなったことで改善へのハードルは上がった。特別調査委員会は速やかな外部専門家による相談・通報窓口の設置を促した上で、「全職員が臆することなく通報できる体制、意識改革が肝要だ」と対応の徹底を求める。
改革に向けた動きが少しずつ進む一方、不祥事が何度も上塗りされる現状に、いわき市の80代女性は「反社と付き合っていたなんて…。信用できるわけがない」と不信感を拭い切れない。信頼を取り戻すための苦難の日々は避けられない。特別調査委員会の記した報告書は「職員らは総じて真面目であり、再生に向けた決意も感じ取っている。再発防止策が実践され、全役職員が悪しき過去と決別し、社会からの信頼を取り戻す日が来ることを切に願う」と結んだ。

