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福島県内最少人口の檜枝岐村が前例のない挑戦を始める。11月上旬にも、県内自治体で初の公設公営コインランドリーを村内に開設。24時間年中無休で、山村の暮らしをより快適にする。村内に誰もがいつでも使えるコインランドリーはなく、民宿などに泊まる登山客やスキー客らから「服を洗う場所がない」と嘆きが上がっていた。採算を取るのが難しい山間部だからこそ、村営を決断した。運用状況を検証しながら持続可能な経営を目指す。
共同浴場「駒の湯」の前に鎮座するコンテナが村営コインランドリーだ。内部には大型洗濯乾燥機が4台ある。布団を丸洗いでき、洗剤や柔軟剤は自動で出てくる。プロパンガスと電気で稼働する。料金は洗濯容量に応じて千円前後から。決裁はQRコードと電子マネーに限る。防犯上の理由で現金は扱わない。
コインランドリーを求める声は、村の主産業になっている旅館や民宿の関係者から上がっていた。スキーや山歩き、渓流釣りなどで滞在する宿泊客から服を洗う場を求められ、民宿経営者の家族が使う洗濯機を善意で貸し出すなどして対応してきたのが実情。檜枝岐の宿泊・観光業の長年にわたる懸案だった。
村内の旅館に勤務する今井宏明さん(46)は「長期で滞在する人は、旅館の水道で服を洗って干している。村がランドリーを設けてくれるのはありがたい」と歓迎する。村民にとっても朗報だ。季節の変わり目などに大量の洗濯物や布団を洗う際は、車で1時間ほどかけて南会津町田島のコインランドリーに向かうことが多いという。
もう一つの設置のきっかけは年初に相次いだ有感地震だ。村は1月、震度5弱の強震と度重なる揺れに見舞われた。万が一、村民や宿泊客らが避難生活を余儀なくされる事態となれば、公衆衛生環境の充実は欠かせない。公衆の洗濯場もその一つ。村役場内で危機感が高まり、防災に関する交付金を国に申請し、村の予算と合わせて約3300万円を確保。コインランドリーの村設村営を決めた。
設置場所は、災害時の拠点になる村役場や村内唯一のガソリンスタンド、公民館などに近い。コンテナはけん引式で、近隣地域で災害が発生した際には応援に向かうこともできる。
県内初の公設公営コインランドリーだが、利用料で運営費を賄えるかは未知数で、村職員が担う管理運営も手探りなのが現状だ。洗剤の補充、雪下ろしなど新たな業務が発生する。平野信之村長は安定した経営に向け「多くの方に利用していただき長く使っていけるようにしたい」と話している。■三島町はガソリンスタンド公設民営
三島町は2020(令和2)年に町内唯一のガソリンスタンド(サービスステーション=SS)が営業を終えたのを受け、町民生活に不便が生じないようにSSの営業を公設民営方式で再開させた。2024年には町外からの利用も見込まれる国道252号沿いの道の駅尾瀬街道みしま宿の隣に移転した。
指定管理を担っている第三セクター桐の里産業(三島町)によると、町民が利用した場合はガソリンや灯油の価格を1リットル当たり5円引きにしており、町から値引き分の全額補助を受けている。町内外の利用比率は町民7に対し町外が3という。業務のスリム化で黒字を維持している。■道路の雪山除去特別班を編成へ
若松市
2月の大雪で排雪が追い付かなかった会津若松市は今冬、道路に積もった雪山を優先的に除去する特別班を編成する。バス路線や救急指定病院の周辺道路、小中高校の入り口周辺の道路交差点など緊急度の高い場所で実施し、市民や観光客らの安全確保に努める。
市が5日、民間業者に委託する除雪業務の説明会で示した。市は今年度、車道分856キロ、歩道分119キロを127社・個人に委託し除雪を進める。
2月の大雪では委託業者や個人による除雪で、道路に多くの雪山が発生した。排雪が追い付かずに、車の運転手や歩行者の視界を遮ったり、道路の幅が狭まり歩行者の安全確保が困難になったりした。約2週間で3千件を超える要望や苦情が市に寄せられていた。

