9連勝で首位 福島県のボンズ旋風、声援力に 平均入場者数昨季から倍増 10連勝へ、8日ホーム戦

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9連勝で首位 福島県のボンズ旋風、声援力に 平均入場者数昨季から倍増 10連勝へ、8日ホーム戦

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バスケットボールのりそなBリーグ2部(B2)東地区の福島ファイヤーボンズが成績、集客数の両面で勢いに乗っている。ボール奪取から時間をかけずにゴールを狙う戦術で、クラブ記録に並ぶ9連勝中。10勝1敗で地区首位を快走している。地域の応援団を増やす戦略が功を奏し、新しいホームアリーナの1試合平均入場者数は昨季から倍増。勝利がファンを呼び込み、声援が選手に力を与える好循環を生み出している。新記録の10連勝を懸け、8日にホームで地区3位の福井ブローウィンズと戦う。
選手は6日、本拠地の宝来屋ボンズアリーナ(福島県の郡山総合体育館)で約4時間の練習に励んだ。攻撃面の連係を確認し、試合さながらの緊張感でフリースローを繰り返した。
今季就任したライアン・マルシャンヘッドコーチ(HC)=(36)=は「全員が自分の役割を理解し、一丸で戦えている」と好調の要因を語る。昨季は最下位に沈み、全13選手中12人が入れ替わった。ボール保持から10秒以内にシュートを放つ練習に力を入れ、テンポの速さを磨いた。
ガード陣を中心に前から圧力をかけてボールを奪う。1試合平均のスチール数は8本でリーグ14チーム中4位。ハードワークする分、交代の頻度も多い。指揮官は選手の特徴を踏まえて組み合わせを考え、満遍なくプレー時間を与える。前所属で出場機会に恵まれなかった選手は奮起する。誰が出ても高いレベルを保てる層の厚さが強みだ。
センターのジャック・ナンジ(26)やパトリック・ガードナー(26)ら長身の外国籍選手がインサイドで優位性を生み出している。リバウンド数は昨季の1試合平均35・5本からリーグ2位の43・0本に増えた。フリースロー成功率は平均85・2%でリーグ1位。ファウルがかさむ終盤での勝負強さを象徴している。
平均40・8%と低いシュート成功率の向上が勝ち続ける上での課題だ。11月は昨季プレーオフに進んだクラブとの対戦が多く、確実性がより求められる。ポイントガードで主将の渡辺翔太(32)は「攻守で強度は上がるが、10連勝でファンに喜んでほしい」と必勝を期す。■功を奏した地道なPR
プレミア参入へ追い風

ボンズは来季始まる新たな最上位カテゴリー「Bリーグ・プレミア(Bプレミア)」に2029―30シーズンからの参入を目指している。売上高12億円と共にホーム戦の1試合平均入場者数4千人が要件となる。シーズンごとの入場者数の推移は【グラフ】の通り。今季は2日時点で昨季から倍増の4250人。チームの好調が集客の追い風となっている。
5千人以上が収容可能な宝来屋ボンズアリーナを本格的に使い始めたのに加え、地道なPRが結実。9月から約20回にわたり、選手やマスコットキャラクター「ボンズくん」が郡山市の小学校、幼稚園などで観戦を呼びかけた。駅前でのポスター掲示依頼や投[とう]函[かん]型無料情報誌の発行、帝京安積高生による交流サイト(SNS)での魅力発信なども効果を出し始めている。
郡山市の会社員渡部仁さん(46)は長男結[ゆい]仁[と]さん(明健小3年)が学校で選手からチラシを受け取ったのを機に開幕戦を初観戦し、ファンになった。「興味はあったので良い機会になった」と語った。
観客増加により地域経済への波及効果に期待する声もある。今泉守顕郡山商工会議所会頭は「行政と連携してスポーツで人を呼び込むまちづくりを進めたい」と意欲を示す。
ホーム戦が8試合ある11月は試合ごとの告知期間が短く、「4千人以上」を維持するには正念場だ。12月以降は平日開催や宝来屋ボンズアリーナ以外での福島県内ホーム戦があり、誘客には厳しい環境となる。クラブを運営する福島スポーツエンタテインメントの西田創社長は「足を使った活動で企業やファンを巻き込みたい」としている。