共生社会へキックオフ デフリンピック開幕まで1週間 サッカー日本代表と福島県民交流

  • [エリア] 福島市 広野町
共生社会へキックオフ デフリンピック開幕まで1週間 サッカー日本代表と福島県民交流

福島のニュース


誰もが暮らしやすく、輝ける社会に―。日本初開催の聴覚障害者の国際スポーツ大会「東京デフリンピック」は8日で開幕まで1週間となった。Jヴィレッジ(福島県楢葉・広野町)で行われるサッカー競技の男女日本代表と県民との交流の機会が福島市で設けられ、聴覚障害がある人に必要な気遣いや思いやりなど、親善試合を通して多くの気付きが生まれた。「手話を覚えるきっかけにしたい」「関心を持ち続ける」。参加した高校生らは大会が理念に掲げる共生社会の実現に向けた一歩を踏み出していた。■多くの気付き今後に生かす
福島市のとうほう・みんなのスタジアム(あづま陸上競技場)での親善試合で、ピッチに立った日本代表選手はアイコンタクトをはじめ視覚からの情報のみで選手間のコミュニケーションを取る「音のないサッカー」を繰り広げた。福島県のFCプリメーロ福島、尚志高女子サッカー部は代表との対戦を通して、自分たちは声をかけ合うことで成立するプレーも手話などが必要となる大変さ、難しさを体感した。同時に、日常生活でも聞こえづらい人らへの配慮や気遣いが必要との気付きを得ていた。
尚志高3年の橋本侑楽さん(18)は「さまざまな障害がある人がいる。今後もスポーツを通じた交流ができるよう、関心を持ち続けていく」と誓った。代表選手との記念撮影では手話を学びながら交流するなど貴重な機会となった。デフ選手の視野の広さに気付いたFCプリメーロ福島の橋本直輝さん(28)は「さまざまなコミュニケーションの形があると分かった」と話し、手話をはじめとしたやりとりへの関心を高めていた。
聴覚に障害がある人の社会生活での不便さ、社会の関心の低さなどの課題が指摘される中、男子代表主将のGK松元卓巳選手(36)は「障害者もスポーツを通して目標に挑戦できると知ってもらえる機会」と日本でのデフリンピック開催の意義を語る。「支えてくれる手話通訳者らにもスポットライトが当たってほしい」と話した。







試合中は手話をベースにした目で見える応援「サインエール」を体験する席が設けられた。親子で参加した福島市在住の荻野桃子さん(9)=御山小3年=、七菜子さん(6)=同1年=姉妹は手話を初めて体験。「思ったより簡単だった。これを機に両親の名前を手話で覚え、聴覚障害者の方と会話してみたい」と語った。■いわき総合、聖光学院高
フラと手話で笑顔に
サテライト開会式出演へ
デフリンピック・サッカー競技会場のJヴィレッジでは開幕日の15日、高校生が「障害に関係なく、誰もが過ごしやすい社会になってほしい」との願いとともにステージ発表に臨む。
同日のサテライト開会式の企画として、いわき総合高フラダンス部員、聖光学院高手話部員らが出演する。両校の共演では、フラダンス曲「アロハ
ユー
絆」に合わせた踊りや手話を披露する予定で、人とのつながりの大切さなど込められた思いを国内外の観客や選手らに伝える。いわき総合高の斉藤心美さん(2年)は「見る人が笑顔になるようなフラを届けたい」、聖光学院高の斎藤美羽さん(3年)は「自分たちの発表を通し、障害のある人にもっと理解を深めてもらいたい」と思いを語った。