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福島県郡山市中田町木目沢字岡ノ内にある「桜里の菊楽園」で、ざる菊が見頃を迎えている。昨年まで手入れをしていた木目沢久一さんが7月に亡くなり、長男一博さん(61)が引き継いだ。「父よりもきれいに花を咲かせられるようになってお客さんに喜んでもらえるよう頑張る」と誓っている。
35アールほどの畑に赤、白、黄、ピンク、紫の全9種類のざる菊約2千株が、美しく咲き誇っている。20日ごろまで見頃が続く見込み。
久一さんがざる菊の栽培を始めたのは8年前で、大勢が訪れる名所を守ろうと丹念な世話を心がけていた。3年ほど前に胆管がんを患った後も入退院を繰り返しながら畑の手入れを続けていた。だが、今年に入って体調が悪化。84歳でこの世を去った。
一博さんは、生前の久一さんから「できれば栽培を続けてほしい」と頼まれていた。しかし亡くなる直前には、手入れの大変さを心配してか「やはり無理はしなくていい」との話をされた。
一博さんはこれまで父が大切にしてきたざる菊と、毎年楽しみにしているお客さんの存在を考え「絶やすことはできない」と決意。10月に脱サラし、現在は午前中はパート従業員として会社で働きながら、午後は畑での作業に専念する日々を送っている。
畑は母ハル子さん(84)と一博さんの長男(30)の3人で切り盛りしている。「お客さんからの『きれいだった』との声が励みになる」。父とお客さんの思いを背負い、きょうも畑仕事に汗を流す。
場所は紅枝垂地蔵桜の近くで、目印にのぼり旗などが立っている。開園は午前8時から午後4時まで。来園者に300円の協力金を募っている。ただし、高校生以下と障害者は無料。問い合わせは木目沢さん方へ。(郡山版)

