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福島県いわき市小名浜地区のサッカーJ2いわきFC新スタジアム整備計画を受け、JR常磐線泉駅と小名浜港周辺をつなぎ貨物輸送を行う福島臨海鉄道と市は、同区間の旅客営業の再開についての協議を開始した。11日、市や同社への取材で分かった。新スタジアムの計画を巡っては整備に伴う駐車場不足が課題の一つとなっており、アクセス環境向上の必要性が指摘されている。
福島臨海鉄道の鈴木章夫総務部長は福島民報社の取材に対し、「旅客化は現時点で全くの白紙だが、市の活性化のために前向きに協力していきたい」とし、市がコンサル会社に委託した実現可能性調査に応じたことを明らかにした。旅客化に向けては車両の導入、軌道やプラットホームの整備などが必要となる。試合開催日の運行だけでなく、開催日以外の運行についても方針を検討していくとしている。
市と同社は旅客事業について協議の場を設けており、市創生推進課の担当者は「旅客化に向けた課題や可能性について互いに認識を確認した。実現すれば、小名浜地区の交通問題の解消に向け、効果が見込まれる」とした。今後は、可能性調査の結果を踏まえた上で協議を重ねていくとしている。
福島臨海鉄道は1907(明治40)年12月に小名浜軽便馬車軌道として創業し、塩や魚の輸送と共に旅客輸送を始めた。1939(昭和14)年に軌道から地方鉄道に変更し、同年小名浜臨港鉄道、1967年に現社名へと改称した。1972年には旅客営業を停止した。近年は主に樹脂や化学薬品のコンテナ輸送を担っている。小名浜地区で開催されるいわき花火大会に合わせ臨時的に旅客車両を運行した実績もある。

