感染急拡大注意を インフル1カ月早く「警報」水準 患者7割超14歳以下 福島県内教育現場

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感染急拡大注意を インフル1カ月早く「警報」水準 患者7割超14歳以下 福島県内教育現場

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インフルエンザの感染が福島県内で急拡大している。県は12日、流行が昨年より約1カ月早く「警報」水準に入ったと発表。直近1週間の感染状況は九つの保健所管内のうち、6地域で警報レベルに達した。医療機関には患者や予防接種を受ける人が殺到し、ドラッグストアでは風邪薬が売れている。患者の7割超を14歳以下が占め、学級閉鎖や休校が相次ぐ教育現場は神経をとがらせる。専門家は家庭や職場に感染が広がる恐れがあるとして、注意を呼びかけている。
県が発表した3~9日の感染状況は【表】の通り。48の定点医療機関当たりの患者報告数は34・63人で警報レベルの基準30・0人を上回った。地域別では(1)福島市(2)県北(3)県中(4)県南(5)相双(6)いわき市―で警報レベルとなり、前週(10月27日~11月2日)の2地域から大幅に増えた。
定点当たりの患者数は県北が62・00人で最も多い。済生会川俣病院(川俣町)は発熱外来を訪ねる患者が連日絶えず、予防接種の予約も増えている。院長の渡辺浩志さん(60)は受け付け状況の資料に目を通し「免疫を得るには早くても2週間かかる。早めに接種してほしい」と自衛を促している。
相双も警報レベルに入った前週より患者が増えている。羽根田医院(相馬市)の理事長、羽根田隆さん(85)は「マスクをする人が以前よりも減り、流行につながっているのではないか」との見方を示す。
ドラッグストアも感染拡大への備えを取っている。ハシドラッグ信陵店(福島市)は10月末以降、風邪薬などの品ぞろえを強化。ここ1カ月間の風邪薬の販売数は前月の約1・5倍に増えたという。
各定点を受診した患者約3千人を年代で見ると、14歳以下が74・1%と子どもの間で流行が著しい。12日の県の発表によると、県内で幼稚園や小中学校、高校など計71施設が休校や学年・学級閉鎖などの措置を講じている。
勿来一小(いわき市)は12日、2学年の計2クラスで学級閉鎖を決めた。全校生による一斉清掃などを中止している。教頭の杉本道彦さん(55)は「対象クラスの閉鎖が終わっても、別の学年や学級で感染が急増する可能性もある」と今後の対応を慎重に検討する。
13日まで試験期間の橘高(福島市)では、インフルエンザによる出席停止や体調不良での欠席が約60人に上る。14日と17日に追試を予定したが、受験できない生徒が相当数いるため、17、18の両日に変更した。
県民も警戒を強める。三春町の公務員横田涼さん(35)は妻、3歳の長女と3人で暮らす。子どもの学級閉鎖で仕事を休む同僚もおり「不要不急の外出を避けるなど自衛策を図りたい」と気を引き締めた。■福島医大山藤主任教授
マスク、換気、ワクチン接種を
感染を避けるにはどんな心がけが必要か、福島医大医学部感染制御学講座の山藤栄一郎主任教授(45)に聞いた。山藤氏はマスク着用、換気、ワクチン接種を組み合わせた対策が有効として、総合的な備えの必要性を唱えている。
―県内の感染状況は。
「特に幼稚園や保育園、学校で広がっている。国内で流行中のA型が県内でも圧倒的に多い。子どもから家庭に持ち込まれたウイルスがさまざまな職場に及ぶ可能性はある」
―急拡大した要因は。
「マスクや換気などの対策が不十分だったり、10月に始まったワクチン接種をまだ受けていなかったりすることが考えられる」
―対策のポイントは。
「せきに限らず、会話などにも感染リスクは存在する。流行期の集団生活ではマスク着用を推奨する。窓を少し開ける程度で構わないので換気を常時行い、外気を取り込んでほしい。ワクチン接種も大切だ」