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約150年の歴史があるとされる福島県伝統的工芸品の「福島だるま」の絵付け体験会が8日、福島市の福島商高の文化祭「福商祭」の中で開かれた。台湾のダンスユニット「福島もも娘」の3人と生徒、住民が交流しながら絵筆を執り、「にらみつけ、悪魔を退治し、福を呼ぶ」という縁起物の制作に取り組んだ。
体験会は、だるま屋の継承者が村田好邦さん(80)=同市丸子=だけになったことを受け、若い世代に伝統をつなごうと、生徒会と地元の富塚町内会が企画した。あらかじめ体を朱塗りした絵付け用の五寸だるま55個と8センチほどの起き上がり小法師40個を用意した。
3年ぶりの一般公開の文化祭でにぎわう校舎の一室で、町内会の高野勝雄会長ら役員が、福島だるまが描かれたそろいの黄色いTシャツ姿で運営に当たった。村田さんが育成会の親子や生徒たちのテーブルを回り、にらみを利かせる目、鶴を表す眉毛、亀を表現するひげ、竜を象徴する唐草模様などの特徴を紹介しながら絵付けの手ほどきをした。
福島もも娘の3人も思い思い絵筆を運び、色鮮やかで独創的な顔を描き、腹に共通する「福」の文字を描き込んで1時間ほどで仕上げた。このうち交流サイト(SNS)フォロワー数が5万を超える台湾出身のリーダー・アブーさんは作業の様子を生配信し「朱色は台湾で吉兆の色。かわいい福島だるまを台湾の人たちに紹介したい」と笑顔を見せた。
村田さんは「台湾や海外にも魅力が伝わることは継承の力になる。地域の高校生をはじめ若い世代に福島だるまを伝承していきたい」と語った。
福島もも娘の3人は全校生が集まる文化祭閉会式のステージにも立ち、歌や踊りのパフォーマンスを披露して会場を盛り上げた。

