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お年寄りを元気づける一風変わった写真展が福島県柳津町のJR会津柳津駅で開催されている。町内の理学療法士大貫皆人さん(29)と看護師二瓶円香さん(27)が、高齢者の何げない日常を撮影した。2人はリハビリテーションに携わり、日頃からお年寄りと接しているが、「もう年だから」と地域活動に消極的な人も少なくない。写真を多くの人に見てもらうことで「いくつになっても自分が主役」との意識を持ってもらうとともに、社会参加を後押ししようと企画した。
会場の駅舎に入ると、料理する女性、仲間と共に農作業に汗を流す男性らの写真が目に入る。その数は約30枚。喜怒哀楽に日頃から寄り添っている2人だからこそ、心情や人柄が伝わる表情を引き出している。写っている高齢者は知り合いの紹介やたまたま出会った人が中心。大貫さんが会話を盛り上げてリラックスしたところを、二瓶さんが撮影した。同駅には16日まで展示し、17日から21日までは町内のスーパー「かねか柳津店」に会場を移す。
大貫さんは仙台市生まれ。昨年、妻の地元の柳津町に移住し、町地域包括支援センターで町民の介護予防や健康づくりに取り組んでいる。二瓶さんは町内出身で会津若松市の病院に勤務。愛用の一眼レフカメラで地元の風景を撮り、インスタグラムで発信している。
2人は町が昨年秋に開いた町の未来を考える若者会議で知り合った。同年代の医療職という共通点があり意気投合。少子高齢化が進む町のためにケアやリハビリの視点を生かしたいとの思いも重なった。大貫さんは「高齢者に光を当てることで若者との距離感が縮まり、社会参加や役割意識の再認識につながる」と考えている。二瓶さんは「古里に恩返しできるように挑戦したい」と意気込む。
撮影を通して、高齢者が口にする町の将来への不安に耳を傾けてきた。数々の声を聞く中で、大貫さんに「地域課題について本音で話し合う場が必要」との気持ちが芽生えた。今後は町内で活動する地域おこし協力隊などと連携した取り組みを模索する考えだ。

