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熊を引き寄せない環境づくりが大事―。熊が頻出している地域に県が専門家を派遣する「ツキノワグマ被害防止緊急対策事業」は13日、福島県会津若松市の慶山、天寧寺の両地区で行われた。熊対策を専門とするNPO法人「おーでらす」の今野万里子代表理事が地域住民らとともに地区内を巡り、熊を寄せ付けないための対策を呼びかけた。
県や市、同地区からら約20人が参加し、目撃や痕跡のあった場所を中心に巡回した。今野代表理事は熊を引き寄せる柿や栗などの「誘引木」を見て回り、早急に伐採すべき木に目印のテープを巻き付けた。今後、所有者から承諾を得た後、順次伐採を進める。
柿の実の早期収穫や木の背丈を低くするなどの手入れ、熊が潜みやすいササやぶの伐採なども推奨した。地区内では引っかき跡やふん、熊が餌を食べる際、折った枝などを木の上に集める「熊棚」が確認された。
今野代表理事は人里に近い場所に柿の木がある限り、熊を引き寄せてしまうと説明し「熊が執着している餌をできる限りない状態にするため、早急な伐採が必要」と訴えた。
参加した慶山町内会長の斎藤昭平さんは「地域単独では熊への対策が限られる。専門家に助言や対応をしてもらえたのは何より」と語った。
市によると、4月から11月12日時点での目撃件数は既に昨年度の101件を上回る、155件が確認されているという。(会津版)

