福島のニュース
寒波に伴い、福島県北塩原村の裏磐梯などで雪となった18日、県内では冬の到来を思わせる冷え込みとなった。災害級の豪雪に見舞われた2月の記憶が新しい中、会津地方の住民や企業、自治体は雪害の「再来」への警戒を強めている。住民生活や経済活動への影響を抑えるため、除雪体制の強化や勤務の見直しなど、教訓を生かした備えを急ぐ。■町内会、独自に除雪委託
「同じ経験は二度としたくない」。会津若松市北会津町の三本松町内会の区長成田源一郎さん(75)=市区長会長=は雪害に苦しんだ先の冬を振り返った。市内で観測史上最大の積雪となった2月は車道の除雪が停滞。自宅から中心部に出るだけで平時の倍以上の時間がかかる日々が続いた。
地域の高齢化により、自力で除雪できる住民は限られる。今季は三本松町内会は「独自の備え」として地元建設会社と契約し、集会所の敷地内や私道の除雪を委託することとした。費用は依頼の回数などによって決まるが、町内会費から捻出する予定だ。痛い出費だが、「会津に住む者にとって除雪は永遠の課題だ」と決断した。
磐梯町にあるカメラ・レンズメーカー、シグマ会津工場は従業員約1760人の約9割が会津若松、喜多方両市や猪苗代町など町外から通う。大雪時の安全確保に向け、今冬から降雪状況に応じて時短勤務や臨時休業、テレワーク(在宅勤務)を導入する。
2月の豪雪では幹線道路が慢性的に渋滞した。通常は車で20分程度の会津若松市からの通勤時間が4時間に達するなど始業に間に合わない事態が続出した。
教訓を踏まえ、警報級の雪が予想される場合は早めの帰宅を促す。翌日の交通障害が見込まれる際には臨時休業やテレワークなどの措置を取る。担当者は「気象情報から迅速に判断して従業員の安全を確保する」としている。
喜多方市の「割烹寿司おゝ多」では豪雪による宴会のキャンセルが相次いだ。約30人規模の会合から決まった面々が集まる会津独特の「無尽」まで大小の宴席が中止となった。店主の太田克彦さん(66)は「店が取れる対策は限りがある。迅速で滞りない除雪をお願いしたい」と行政に対応を求めている。■市町村
体制見直し安全確保
各市町村は除雪体制を見直し、住民の安全や交通環境の維持に力を入れる。
湯川村は村道の除雪を全て村直轄に切り替えた。従来は一部作業を民間業者に委託していたが、会計年度任用職員として除雪作業員12人を採用。降雪期の12月~来年3月に迅速に対応する体制を組んだ。
猪苗代町は除雪対象の道路を見直す。同一の幹線道路に至る町道や生活道路が複数ある場合、うち1本を除雪対象から外す。対象路線の総延長を少しでも短くし、より迅速な除雪につなげる狙いがある。地区の代表らと協議を重ねて対象道路の選定を進めている。
会津若松市は2月の対応で見えた除排雪の課題を踏まえ、体制を一部改めた。前回並みの大雪を見込む場合は除雪車の出動基準「路面積雪10センチ以上」にこだわらず、柔軟に出動する。積雪が増えた場合は雪捨て場を確保するため、県立会津総合病院跡地など3カ所を臨時雪捨て場に指定する。
国土交通省郡山国道事務所会津若松出張所は18日、管内の国道49号で路面の凍結抑制剤を散布した。今季初めての散布で、昨季より10日ほど開始を早めた。
午前中に路面凍結が見られた猪苗代町、夕方は雨粒で路面がぬれた会津若松市河東町などで作業した。中島博行所長は「国道は地域の大動脈。委託業者の協力を得て細心の注意で備えたい」と語った。■「タイヤ交換早めに」福島で予約相次ぐ
18日は福島市内も冷え込み、カー用品店にはタイヤ交換の依頼が相次いだ。同市鳥谷野のタイヤ俱楽部では交換作業を急ピッチで進めている。予約のピークを迎える22日からの3連休は整備士を増やして対応する。店長の本名崇さん(53)は「早めに準備を終えて余裕を持った運転をしてほしい」と呼びかけている。■タイヤ盗難続発
対策を
1~10月被害329件
昨年同期比119件増▶物置などに保管▶チェーンで固定▶防犯カメラ設置
自動車のタイヤ・ホイールの盗難が県内で相次いでいる。1~10月の被害は329件に上り、昨年同時期を119件、2023(令和5)年同時期を160件上回った。18日、県警への取材で分かった。県警はタイヤ交換時期に被害に遭いやすいとして防犯対策の徹底を呼びかけている。
県警本部生活安全企画課によると、今年の被害件数は過去2年間の通年の被害件数を既に超え、屋外で保管中に盗まれるケースが多いという。ホイールに含まれる金属価格の高騰を背景に、売却目的による犯行の可能性が指摘されている。
同課は①物置など施錠できる場所に保管する②チェーンなどでタイヤを固定する③防犯カメラやセンサーライトを設置する―などを対策に挙げている。

