県都の針路 馬場福島市政の課題(下) 人口減少 未来への道筋どう描く

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県都の針路 馬場福島市政の課題(下) 人口減少 未来への道筋どう描く

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若者の流出、人口減少に歯止めがかからない。県都・福島市の人口は今年8月1日時点で27万人を割り込み、将来の推計を上回るスピードで深刻化している。
市は現在、来年度に始まる第7次総合計画(2026~2030年度)の策定を進めている。9月の市議会全員協議会に示された中間報告では、根幹となる共通テーマを「人口減少の抑制・適応と発展」に位置付けた。今後の推計と実態は【グラフ】の通り。市は2040年までに24万人台を維持させたい考えだが、合計特殊出生率は2020年の1・34に対し、昨年は1・06にまで落ち込む。社会動態(20~39歳)はマイナス871人で、2020年と比べて人口流出が約2倍に広がった。市は「目標人口とのさらなる開きが想定される」と厳しい見通しを立てる。
福島民報社などが市長選に合わせて実施した世論調査では、最も注目された「中心市街地の活性化」に次いで、「人口減少」の選択肢が若者世代を中心に関心を寄せる傾向がみられた。福島学院大福祉学部こども学科2年の阿部ゆいさん(20)は、県内で保育士として働くキャリアを目指しているが「何より就職先の選択肢が少ない。希望の分野で働ける場所や学べる場がもっと必要なのでは」と県都の今を見つめた。
市長選で初当選した馬場雄基氏(33)は選挙期間中、経済の担い手となる「生産年齢人口(15~64歳)」を例に挙げ、仙台市、郡山市に比べて減少幅が大きいとして、危機感を訴え続けた。「データを見える化して、市民目線の政策につなげていく」。市役所内部に市長直轄の「未来戦略本部」を置き、情報の収集・分析を行うことで、効率的な施策につなげる考えを強調した。
幼稚園から高校時代までを市内で育った馬場氏は、公約の基本ビジョンに「次世代文教都市」を掲げ、子どもを中心としたまちづくりを基盤に据える。将来にわたり、「住んでみたい」「住み続けたい」と思えるまちの道筋をどう描けるか。若きリーダーのしなやかな発想と行動力に市民が注目している。