中高生の論文 4人と2団体最優秀 野口英世賞と朝河貫一賞 福島県教委

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中高生の論文 4人と2団体最優秀 野口英世賞と朝河貫一賞 福島県教委

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福島県教委は19日、中学生・高校生の優れた科学・技術研究論文をたたえる「野口英世賞」、国際理解に関する優秀な論文を対象にした「朝河貫一賞」の最優秀賞受賞者4人と2団体を発表した。
野口賞は中学校・個人研究の部で横川真子さん(福島大付属中3年)、同・共同研究で福島大付属中、高校・個人研究で掃部夏央さん(小名浜海星高3年)、同・共同研究で安積高生物部魚班を選んだ。朝河賞は中学生の部で横山和奏さん(福島大付属中3年)、高校生で尾島望花さん(原町高2年)を選んだ。
横川さんは小学生から9年間続けてきた研究を元に、アサガオのつるの巻き付きに作用する成分やメカニズムを考察した。
福島大付属中は中庭にあるビオトープの植生を調査してまとめ、昨年度と比較した。動物は標本を用意し、今後比べやすくした。
掃部さんは小名浜港や中之作港で調査した。確認した季節来遊魚36種中、18種が県内初記録の可能性があることなどを指摘した。
安積高生物部魚班はコイを使った配合飼料の有用性を検証。加熱処理した大豆粉などが魚粉の代替飼料として有効だと確認した。
横山さんはタイのスラム街への訪問を機に、絵本に翻訳シールを貼るボランティアを経験した。国際支援の在り方などを考えた。
尾島さんはボランティアで出会った技能実習生の思いや努力に触れ、日本社会と外国人の関わり方、国際協力と平和を考えた。
野口賞に中学生から16点、高校生から34点の応募があった。朝河賞に中学生から18点、高校生から24点が集まった。
最優秀賞以外の受賞者・団体は次の通り。【野口英世賞】
◇中学・個人▽最優秀賞=横川真子(福島大付属3年)▽優秀賞=長南陽向(福島大付属2年)守谷知佳(同)▽入選=赤井新(野田2年)金井晃太朗(福島大付属1年)本田美月(同)◇中学・共同▽最優秀賞=福島大付属(板垣良介代表)▽優秀賞=福島大付属共同研究チームEnvironments(粟地さくら代表)▽入選=福島大付属(牛坂心優代表)
◇高校・個人▽最優秀賞=掃部夏央(小名浜海星)▽優秀賞=守谷史佳(福島)◇高校・共同▽最優秀賞=安積生物部魚班(川崎友輝代表)▽優秀賞=会津学鳳SSH探求部化学班(田中颯人代表)白河旭(蓮見咲弥代表)▽入選=会津学鳳SSH探求部生物班(鈴木大地代表)【朝河貫一賞】
◇中学▽最優秀賞=横山和奏(福島大付属3年)▽優秀賞=菅野龍志(二本松三2年)二瓶柚香(福島大付属3年)星碧(郡山ザベリオ学園3年)大河原叶翔(矢吹3年)渡部陽菜(若松五3年)▽入選=渡辺正成(福島大付属2年)深水柚花(会津柳津学園3年)
◇高校▽最優秀賞=尾島望花(原町2年)▽優秀賞=佐々木乃音(あさか開成1年)長井莉緒菜(郡山萌世3年)井上愛叶(南会津2年)鈴木康友(同)月田沙良(同)▽入選=野矢暖貴(あさか開成1年)星彩花(南会津2年)■今年度で野口賞終了
県教委は中学生・高校生の科学・技術研究論文「野口英世賞」を今年度で終了する。論文の形での募集が、変化する教育環境に必ずしもそぐわないと判断した。
野口英世賞は1991(平成3)年度、科学技術に関する生徒の意識と関心を育てることなどを目的に創設された。今回で34回目を迎え、一定の役割を果たしたとみている。朝河貫一賞は継続する。
2026(令和8)年度以降は、科学の甲子園県大会などに、野口英世賞を設ける方針。理数系教育の功績をたたえる賞として引き継ぐ。具体的な表彰対象・条件は検討中。【野口英世賞喜びの声】■横川真子さん(福島大付属中)
考察の証明に取り組む
昨年までの優秀賞、入選に続き、(野口英世賞の)最後の年に有終の美を飾ることができて良かった。来年も続け、考察を実際に証明できるか検証したい。■福島大付属中(代表・板垣良介さん)
環境問題への活動に生かして
取り組みが評価されて感無量だ。侵略的外来種の問題が身の回りにもあると実感した。結果が、今後の環境に関する活動や研究に生かされればうれしい。■掃部夏央さん(小名浜海星高)
研究続け、高み目指す
中学生の頃から研究を積み重ねてきた集大成が評価されて本当にうれしい。支えてくれた家族に感謝している。次のステージでも研究を続け、高みを目指す。■安積高生物部魚班(代表・川崎友輝さん)
卒業後も検証に関わりたい
高校生の立場で社会にどう貢献できるか考えた。中小企業などで導入するのには長期的データが必要になる。3年生は来春卒業だが何らかの形で関わりたい。【朝河貫一賞喜びの声】■
横山和奏さん(福島大付属中)
国際協力身近に感じて
遠いことだと思われてしまいがちな国際協力を、身近に感じてほしい。皆さんが積極的にボランティア活動などに取り組む一つのきっかけになればうれしい。■尾島望花さん(原町高)
国籍を問わない社会を
ボランティア活動で外国籍の技能実習生と出会い、日本人を一番に考える社会に違和感を覚えた。国籍に関係なく、正しく評価される社会になってほしい。