福島のニュース
警察庁は今年から11月を犯罪被害者月間に位置付け、支援施策の周知強化に取り組んでいる。福島県内の支援拠点「ふくしま被害者支援センター」による今年の相談対応・支援は9月末現在、612件で前年同期比76件増になるなど、役割の重要性は年々増している。9月には犯罪被害者の相談・支援を一元的に担う「県多機関ワンストップサービス」が本格始動。被害者の円滑な救済と負担軽減に向けて、機能充実を目指している。
「どうされましたか」。福島市大町にあるセンター事務所では、専門知識を持つボランティア職員が受話器越しの訴えに耳を傾けていた。1日複数件の相談があり、被害者の声に寄り添い続けている。センターは身体や交通事故、性犯罪など幅広い分野で被害を受けた県民らの支援に当たる。電話や面接による相談対応をはじめ、病院への付き添い、カウンセリングなどの取り組みを続けている。
センターの相談・支援件数の推移は【グラフ】の通り。県から性暴力等被害救援機関「SACRAふくしま」の業務も受託。センターの相談・支援(9月末時点)612件のうち、SACRAふくしま分は471件で全体の77%を占めている。芸能界で性加害が問題となった2023(令和5)年は、センターの取り扱いが過去最多の941件(うちSACRAふくしま分769件)に上った。
県多機関ワンストップサービスでは、公認心理師の酒井芳子さん(福島市)が犯罪被害者等支援コーディネーターを務めている。関係先の調整役として迅速、的確な支援につなげている。これまでは複数箇所に相談内容を話さなければならず、手続きごとに窓口が異なるなど、被害者の心理的負担が「二次被害」になるとの指摘もあった。酒井さんは「被害者が声を上げやすい環境づくりや、寄り添った対応を続けたい」と支援の充実に向け、前を見据えている。

