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今年度の第78回県文学賞エッセー・ノンフィクション部門正賞受賞の福島県二本松市の渡辺健さん(57)を招いた特別授業は21日、福島市の清水中で行われた。渡辺さんは生徒たちと交流しながら、人生を切り開くための前向きな生き方を伝えた。
渡辺さんは県内の小中学校の元理科教諭。視覚障害が重篤化し、退職後ははり師・きゅう師・あんまマッサージ指圧師として銀の森治療院長、筑波技術大研究員など活躍している。自身の体験をまとめた「言霊の幸わう国で」が文学賞に輝いた。渡辺さんと同校の菅野重徳校長が福島県の中学理科教員採用後からの旧知の仲のため、今回の道徳の特別授業が実現した。3年生約130人が参加した。
渡辺さんは「心と頭と体を鍛えてステキな出会いを!」をテーマに、自身が大切にしている心と頭と体のバランスを紹介。「体は健康、心は希望や願い、不安の感情、頭は知識や技術の習得」とし、3つのバランスを車に例え、「丈夫なボディ(体)に空気の詰まった右のタイヤ(心)と左のタイヤ(頭)が付いている車は自分。全てが充実して初めて行きたい場所に前進できる」と説明した。「進む先に出会いがある。出会いは自身だけでなく、取り巻く環境にも素敵な変化をもたらす。前を向いて歩み続けてほしい」とエールを贈った。ギターの弾き語りも披露した。
参加した3年の佐藤凛乃さん(15)は「心に響いた。三つのバランスはどれも欠けてはいけない。教えを胸に、前に進んでいきたい」と笑顔で語った。

