競技かるた 夢の女王へ 西牧美渚さん(須賀川出身) 「憧れの舞台悔いなく」1月日本一決定戦 福島県出身者初挑戦

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競技かるた 夢の女王へ 西牧美渚さん(須賀川出身) 「憧れの舞台悔いなく」1月日本一決定戦 福島県出身者初挑戦

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競技かるたの女性日本一を決める「クイーン位決定戦」に、福島県須賀川市出身の西牧美[みい]渚[な]さん(24)=慶応かるた会、安積黎明高出身=が挑戦者として出場する。県かるた協会によると、70年の歴史のあるクイーン戦に福島県出身者が臨むのは初めて。来年1月11日に大津市の近江神宮で行われる最高峰の一戦を前に、「クイーンになるためにかるたを続けてきた。憧れの舞台で悔いのないかるたを取る」と胸を高鳴らせる。
西牧さんは5歳の時にかるたを始めた。安積黎明高に進み、姉真凜さん(26)とともに2017(平成29)年の全国高校小倉百人一首かるた選手権大会で東北勢初の団体戦優勝に導いた。個人戦でもB級優勝し、一流選手の証しとなるA級に昇格した。卒業後は「大学日本一」を目指し姉と同じ学習院大に進んだが、コロナ禍によって練習すらままならない状況が続き夢を果たせなかった。
昨年、大学を卒業し塾を運営する企業に就職したが、土日に休みを取れず大会から足が遠のいた。「このままじゃ後悔する」。時間の融通が利く通信制高校のオンライン授業の講師に転職し、一念発起して練習に励んだ。
9月、祖母の上原美寿子さん(88)=神奈川県藤沢市=が脳梗塞で倒れ、寝たきりとなり意思の疎通が困難な状況になった。一時は練習もできないほど動揺したが、真凜さんの励ましもあって「おばあちゃんに良い報告を届ける」と決意を固めた。1カ月後にクイーン戦の東日本予選に臨み、30人が出場したトーナメントを勝ち抜き初優勝した。16日には東西の予選を制した選手が3番勝負で対戦する挑戦者決定戦に挑んだ。初戦を10枚差で落としたが、次戦を6枚差、3戦目を8枚差で制し、クイーン位への挑戦権をつかんだ。
西牧さんの母由起さん(県かるた協会長、須賀川市)は8年前にかるた会「福島黎明会(現・福島葵会)」を立ち上げ、県内で腕を磨く場をつくるなど娘の挑戦を支えてきた。
現クイーンの矢島聖[せい]蘭[ら]さんは同じ慶応かるた会に所属し、これまで10回程度対戦した。西牧さんはこの一年で精神的に強くなっていると警戒する。「家族の支えのおかげで強くなれた。自分がクイーンとなることで、福島でもかるたへの関心が高まってほしい」と闘志をかき立てた。