【あなたらしく、わたしらしく―男女共生はいま―】多様性広く お米愛深く 福島県産米のPR活動 初の男性クルー

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【あなたらしく、わたしらしく―男女共生はいま―】多様性広く お米愛深く 福島県産米のPR活動 初の男性クルー

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お米の似合う人に男性も女性も関係ない―。
福島県産米を全国に発信する「ふくしまライシーホワイト」の第41代キャンペーンクルーとして活動する田村大輔さん(22)=福島大人間発達文化学類4年、郡山市=は、メンバー5人のうち唯一の男性。男性がクルーに選ばれたのは初めて。この時期、県内外で県オリジナル高級米「福、笑い」などを売り込む。「男性がなることで、一歩を踏み出す勇気と度胸を伝えたい」と言葉に力を込める。








■衣装や講習内容
女性向け中心
クルーを募集する県米消費拡大推進会議は2000(平成12)年から応募資格から「女性」を外したが、男性が選ばれたことはなかった。高校まで相撲と柔道で体を鍛えた。身長177センチ、体重105キロ。恵まれた体格を支えたのは毎食欠かさず食べるお米だった。今年の選考に臨んだのは計24人、男性は1人だけ。誰よりも、コメを食べてきた自負がある。ふっくらとした顔立ちに、物腰柔らかな語り口で、熱い思いと説得力のあるプレゼンテーションを披露した。
いざ選ばれてみると戸惑いもあった。女性クルーはおそろいの白い衣装で活動する。男性用にデザインされたジャケットとパンツはなく、白を基調として体格に合うスーツを選んだ。身だしなみなどを学ぶ講習の一部は女性向けが中心だった。担当の県職員と打ち合わせを重ね、自らの良さを引き出しながら、発信力につながる形を模索してきた。
10月からクルーとしての活動が本格的に始まった。湯川村役場で行われたふるさと納税返礼品の出発式のテープカット。「花を添える役目にふさわしくないかも…」。そんな視線があるのではと気にかけていた。しかし、「男性で初めてなんて、すごいことだね」。出席者からのねぎらいの言葉に肩の荷が下りた気がした。今月1日に那覇市で行われたキャンペーンでも、屈託のない笑顔で県産米の魅力を伝えた。









県内のキャンペーンクルーも男性が担える時代が当たり前になった。県産果物をPRするミスピーチは第41代に当たる2003年から男性の募集を始め、これまで4人が選出された。郡山市のミスうねめは2023(令和5)年から、いわき市のサンシャインガイド(現在活動休止中)は2000年から男女問わず募集している。いまだ女性が中心であるのは変わらない。
田村さんはクルーになる前から、能登半島地震で被災した田んぼのあぜ道を補修するボランティアや、東日本大震災からの学び伝える学生プロジェクトに参画してきた。「新しいことに挑戦するには労力がいるけど、面白い」と感じている。来春からは福島大大学院で国語教育を学び、将来は中学校で教壇に立つつもりだ。「多様な生き方のロールモデルになりたい」。自らの挑戦が未来につながると信じている。