選手と一丸、共生の一歩 Jヴィレッジ(福島県楢葉・広野町)でデフサッカー日本男女「銀」 レガシー継承誓う

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選手と一丸、共生の一歩 Jヴィレッジ(福島県楢葉・広野町)でデフサッカー日本男女「銀」 レガシー継承誓う

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福島県を舞台に日本デフサッカー界の新たな歴史が刻まれた。25日にJヴィレッジ(楢葉・広野町)で行われたデフリンピックサッカー決勝で、日本は男女とも史上初の銀メダル獲得の快挙を成し遂げた。観戦した県民は「レベルの高さに驚いた」「障害の有無にかかわらず挑戦する大切さを学んだ」と感動を口にした。聴覚障害関係者は共生社会実現を目指す大会のレガシーを未来へつなぐと誓った。
スタジアムに試合終了を告げる笛が鳴ると、男子イレブンは互いの奮闘をたたえた。男子決勝は接戦の末、トルコに1―2で敗れた。先に米国に0―4で敗れた女子の悔しさを晴らそうと、選手は最後までピッチを駆け回った。惜しくも及ばなかったが、日本デフサッカーのレベルを世界に示した。
「絶対大丈夫!」「1点狙おう!」。男女の決勝には県民ら合わせて約2500人が応援に駆け付けた。観衆は、無音の世界で熱戦を繰り広げた挑戦者を後押しした。いわき市の無職安島雅博さん(50)は脳梗塞により左半身にまひが残る。聞こえなくても全力で走り、迫力のプレーを見せる姿に勇気をもらった。「県内で男女日本代表が世界一を懸けて戦うのはすごいこと。障害があっても挑戦し続けたい」と刺激を受けていた。
いわき総合高2年の佐藤維吹さん(16)はデフサッカーの観戦は初めて。女子決勝で身ぶりを使った「サインエール」で応援した。東京電力福島第1原発事故により富岡町からいわき市に避難した経験がある。「(選手に)届くように目いっぱい体を使った。世界から双葉郡に人が集い、共生社会の実現にも復興状況にも理解が深まったと思う」と笑顔を見せた。
選手も観客と心を一つにピッチに立った。男子の松元卓巳主将は「一緒に戦ってくれてありがたい。子どもたちはやりたいことや夢を諦めず、挑戦心を貫いてほしい。戦いが、誰かの勇気や次の一歩につながればうれしい」と感謝した。試合後、サポーターが「支援をありがとう。日本は希望と共に進んでいます」と10の言語で記した横断幕を掲げた。
女子の伊東美和主将は「今大会を機に、障害を抱える人々にもっと焦点が当たる社会になってほしい」と願った。内堀雅雄知事は「ひた向きなプレーと粘り強く勝利を目指す姿は、県民に勇気と元気、そして感動を届けてくれた」とのコメントを発表した。
県聴覚障害者協会事務局長の小林靖さん(68)=郡山市=によると、聴覚障害者は健常者の輪に入りにくく孤独を抱えやすいという。「大会の経験が日常の交流につながり、地域に浸透していってほしい。共に楽しめた瞬間が共生社会実現のきっかけになる」と期待を込めた。