年明け福島県内最賃大幅増 賃上げへ県が支援金 中小企業 1人当たり3万円 企業は収益向上不可欠 雇用維持へ

  • [エリア] 川俣町

福島のニュース


来年1月に県内最低賃金が78円引き上げられるのを踏まえ県は、賃金を増額した中小企業に労働者1人当たり3万円の支援金を支給する。大幅な引き上げへの対応に苦慮する事業者が予想され、独自の支援策が必要と判断した。福島地方最低賃金審議会が答申した9月5日時点で1018円以下だった時給を、来年1月1日までに1033円以上にした県内の中小企業・小規模事業所が対象となる。
内堀雅雄知事が26日、賃上げ支援の必要経費10億5600万円を盛り込んだ総額72億6600万円の2025(令和7)年度一般会計補正予算案を発表した。緊急的な一時支援と位置付けた。
雇用保険に入っている労働者を対象とする方針。賃金の上げ幅にかかわらず補助額は一律となる見通し。国の物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金を財源に充てる。県は来年2月から5月まで申請を受け付け、賃上げの実績を確認して支給する。確認方法などの制度の詳細は今後詰める。
現在、県内の最低賃金は955円。中央最低賃金審議会が示した目安額の63円を足した1018円を起点とした。地方審議会が上乗せした15円分を支援する仕組み。県は事業者の年間の負担増について従業員1人当たり3万円程度と推計。最低賃金水準の千円前後で雇用されている人の割合から、対象者は3万2千人程度と見込んだ。
来年1月からの最低賃金引き上げは、現行制度となった2002(平成14)年度以降最大幅の引き上げとなる。県内中小企業からは「物価高騰が重なり経営環境が厳しい」との声が上がっており、経済団体などが県に対策を要請していた。
内堀知事は定例記者会見で「経営への影響を緩和し、雇用の維持を図っていきたい」と述べた。補正予算案は9日開会予定の12月定例県議会に提出する。
今後の安定的な賃金上昇に向けて県内の経営者や経済、労働者団体の関係者からは、各企業の収益増などにつながる長期的な視点での取り組み強化が必要との意見が出た。
学生服縫製を手がける川俣町の「古関」は最低賃金の改定に伴い、人件費や社会保険料の増額分は年間1千万円ほどに上ると試算している。古関将士社長は「雇用を維持するには会社の収益を上げなければならない。長期的な視点に立った支援も必要だ」と話す。
県は安定的な経営基盤の確立に力を入れる考えを示している。
一方、福島労働局に1033円への改定を答申した福島地方最低賃金審議会の議論では性急な引き上げに慎重な意見もあり、答申文に早急な支援など政府や県への要望を盛り込んだ。審議会委員として議論に関わった県商工会議所連合会の安達和久常任幹事は支援金の活用を会員事業所に促す方針。企業の経営改善には商議所の経営支援員の重要性が増しているとし、県による人件費支援の継続を求めた。
同じく委員を務める連合福島の田崎雅人副事務局長は「来年の春闘に向け、一部中小企業の『息切れ感』は認識している」としつつ、労働者の生活安定に向けては賃上げの機運を高める重要性を指摘。「長い目でみた行政支援が必要ではないか」と訴えた。