土木工事入札中止81件 福島県と市町村 契約解除6件 委託システム、改修で設定ミス 工期遅れにつながる懸念

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土木工事入札中止81件 福島県と市町村 契約解除6件 委託システム、改修で設定ミス 工期遅れにつながる懸念

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福島県は28日、外部委託した土木工事の費用積算システムの改修作業で一部の単価を誤り、公告済みの工事に入札中止、契約解除が起きたと発表した。いわき市以外の58市町村も同システムを使っており、県・市町村分を合わせ、入札中止は81件、契約解除は6件に上ると見込む。再公告や入札の結果次第では工期の遅れにつながる懸念もあり、受注業者の事業活動に加え、県民生活に影響する可能性がある。
県によると、誤った単価を用いた工事は計241件(県土木部分43件、市町村分196件、県の他部局分2件)。県土木部はミス判明後に再積算し、15件で入札を中止。応札済みの1件を契約解除する。各市町村分のうち入札中止は66件、契約解除は5件。共に見込みを含む。
県は業者や市町村の同意を得ていないとして該当の工事名を明らかにしていない。関係者によると、道路の維持管理に関する工事が多いとみられる。
システムは富士通ジャパンが製造・販売する製品を福島県向けに調整して提供している。県は毎年10月1日の積算基準の改定に合わせ同社に改修を依頼したが、設計金額算出に使う機械、労務、材料の単価の一部を正しい値と入れ違えた。このため、各工事の最低制限価格が本来より高く算出された。17日に県出先機関の職員が見積もり合わせをした際、金額の不自然さに気付いた。
2015(平成27)年度にシステムを導入以降、同様のトラブルはなかった。県は19、27の両日に市町村向け説明会を開いて状況を共有した。芳賀英幸県土木部次長は「富士通ジャパンに社内検査の徹底を指示する。県側の新たなチェック体制を構築し、再発防止に努める」としている。富士通広報IR室は原因や今後の対応について「回答を差し控える」としている。■現場影響危ぶむ声
自治体や建設業界
市町村や建設業界からは影響を危ぶむ声が上がる。
郡山市は同市中田町駒板の河川維持工事、同市安積町牛庭3丁目の笹川野田線側溝工事が契約解除となった。河川維持は工期が丸1年遅れる見通し。河川課は現時点で大きな支障はないとみる一方、集中豪雨の規模次第で工事完了前に川があふれる恐れは「否定できない」としている。この他、市発注の18件、上下水道局発注の6件の入札を中止した。
他市町村でも市道の舗装や公園街路樹灯の更新などの入札が中止されるなど、生活に直結する案件も含まれている。
県建設業協会の担当者は「関係する工事が多く困惑している」と語った。情報収集中だが、年度内に工期を定めている工事も多いとみている。「見積もりの提出などの手続きを繰り返すとなると現場は大きな痛手だ」と今後を不安視した。