集客受け止めるまちづくり重要 「奥羽新幹線」構想 検討会、福島市で初会合 民間主体駅前活性化含め議論

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福島市から山形市を経て秋田市に至るフル規格「奥羽新幹線」の構想を話し合う民間主体の検討会は28日、福島市で初会合を開き、来年8月の提言取りまとめに向けた議論を開始した。出席者からは周辺地域との交流促進を見据えたまちづくりの重要性などを指摘する意見が上がった。
検討会は福島青年会議所(JC)、福島商工会議所と市商店街連合会の両青年部、福島まちづくりセンター、市観光コンベンション協会、ふくしま未来研究会、福島大の7組織で構成する。初会合では9月の発足式と勉強会で示された新幹線整備の効果や、空洞化が進んでいるJR福島駅周辺の現状などを踏まえて意見を出し合った。
座長を務める福島大経済経営学類の吉田樹教授は福島市にはJR東北線、奥羽線の分岐点としての強みがある一方、現在はその優位性が下がっていると指摘。活性化を図る上では、周辺地域からの集客を受け止められるまちをつくる視点が重要だと訴えた。
発起団体の一つ、福島JCの南祐希まちづくり委員長は福島駅前の価値向上や国土強靱[きょうじん]化などの側面からも議論を深めたいとの意向を示した。
検討会は来年8月までに計5回開き、地域間交流の推進、福島駅前へのにぎわい創出をはじめ多角的な視点から奥羽新幹線の構想について議論し、行政などに出す提言をまとめる。
奥羽新幹線は1973(昭和48)年11月に政府の基本計画に明記されたが、建設に至っていない。山形県内では山形新幹線福島―米沢駅間で計画が浮上している「米沢トンネル(仮称)」を奥羽新幹線実現の一歩と捉え、官民連携の動きが進んでいる。◆奥羽新幹線を巡る主な経過◆▶1973(昭和48)年11月
政府が全国新幹線鉄道整備法に基づく基本計画に奥羽新幹線を明記▶1992(平成4)年7月
山形新幹線開業▶2017年11月
JR東日本が山形新幹線福島―米沢駅間の新トンネルのルートや事業費などの調査結果を山形県に提示。両者による協議開始▶2021(令和3)年3月
JR東が時速200キロ以上の高速で走行可能な緩やかなカーブのトンネルの検討に向け、詳細な共同調査を山形県に提案▶2022年10月
JR東と山形県が「米沢トンネル(仮称)」整備計画推進に関する覚書、山形県内の鉄道沿線の活性化に関する包括連携協定を締結▶2025年3月
JR東と山形県による米沢トンネルの共同調査の結果公表。物価上昇などを背景に大幅な事業費拡大、工期延長が明らかに▶2025年9月
福島市で民間主体の検討会が発足。山形県が国土交通省やJR東などと共に米沢トンネル整備の在り方を話し合う検討会議を設立■米沢トンネル整備、年度内に方向性
山形県など検討会議
山形県や国土交通省、JR東日本などが米沢トンネル整備の在り方を協議している検討会議は事業費や工期を盛り込んだ整備計画、関係団体の費用負担などを盛り込んだ整備スキーム(枠組み)について、今年度内に一定の方向性をまとめる方針。
在来線区間を走る現在の山形新幹線は天候や動物との衝突による運休・遅延の多さが課題となっている。安全・安定輸送のために米沢トンネル整備の議論が進んできた。
事業費は約2300億円、工期は約19年を見込んでいる。