福島のニュース
農林水産省が28日に発表した2025(令和7)年の農林業センサス(速報値)では、福島県内で主に自営農業に携わる基幹的農業従事者が3万7260人となった。2020年の前回調査を1万4339人(27・8%)下回り、過去最少を更新。65歳以上が占める割合は76・7%で前回調査の74・8%から1・9ポイント上昇した。県やJAなどは農業者の高齢化などに伴い加速する離農による労働力不足を補うため、担い手の確保・育成などを急ぐ構えだ。
東日本大震災と東京電力福島第1原発事故発生後、大熊、双葉両町を含め県内全域が調査対象となったのは今回が初めて。基幹的農業従事者の人数と平均年齢の推移は【グラフ】の通り。年齢別の構成は【表】の通り。人数の減少率は27・8%で、1万3448人減少した2020年の減少幅20・7%を7・1ポイント上回り、減少率は原発事故後で過去最大。年齢別の構成では70代が最も多く1万6648人で44・7%と半数近くを占めた。
経営耕地面積は8万3988ヘクタールで前回より1万1258ヘクタール(11・8%)減少した。一方、1経営体当たりの面積は2・7ヘクタールで5年前と比較し0・4ヘクタール増加。面積別の経営体では20ヘクタール以上の割合が増えるなど農地の集約化が進んでいる。
県内で農業従事者が減る一方、農業産出額は増加傾向にある。直近の2023年は2163億円で震災前の水準には達しないものの物価高騰などを要因に、2020年の2116億円から47億円、2015年の1973億円から190億円それぞれ増加している。
県は「引き続き新規就農者の確保に取り組み、スマート農業導入など効率的な農業を推進し食料安全保障の確保に努めたい」(農林企画課)としている。

