福島市中心部に熊出没　ＪＲ福島駅から１・５キロ　列車と衝突し死ぬ

福島市中心部で２９日、熊の目撃が相次いだ。午前５時５０分ごろから同６時２５分ごろにかけ、森合字前田と曽根田町で体長１５０センチの熊１頭が目撃された。午後４時４５分ごろには、森合字屋敷下を走行中の阿武隈急行線下り列車が熊と衝突し、熊はその場で死んだ。現場はＪＲ福島駅から北に１・５キロほどの場所。近くには商業施設や学校、文化施設などがあり、住宅密集地。住民は「こんな街なかに熊が出るなんて」と驚きを隠さない。
福島署によると、列車と熊が衝突した現場は「屋敷下踏切」から福島駅方面に約２００メートルの付近。目撃された熊と同一個体かは不明という。阿武隈急行線や東北線などで一時運転を見合わせた。このうち、東北線では上下各１本が運休、下り２本が遅れ、乗客約４７０人に影響した。
森合地区の商業施設で働く４０代男性は、近くに住む客が多いことから「気を付けてください」と声をかけたという。県外では商業施設などに熊が侵入する事案が確認されている。「万が一の際、お客さんの安全を確保できるか心配」と話した。
森合地区に住む４０代男性は、「長くこのエリアに住んでいるが熊が出たのは初めて」と驚く。２９日朝、地区内での目撃情報を聞いた際、「まさか」と耳を疑ったという。高校生と中学生の子どもがおり、登下校時の安全が気がかりだ。「早く冬眠してほしい」と願った。■住宅街でも目撃南沢又笹谷
これとは別に、市内の住宅街などでも熊の目撃が相次いだ。午前５時４０分ごろ南沢又字桜内の市道、午前６時５０分ごろ笹谷字南田の店舗駐車場、午前８時２０分ごろ笹谷字出水田の市道、午後９時２０分ごろ笹谷字堰堀の市道で、体長約１００～１５０センチの熊１頭がそれぞれ目撃された。
近くにある清水中は土日の部活動を中止にした他、不要不急の外出を控えるよう生徒に通知した。
同一の熊かどうかは不明だが、目撃情報は時間とともに西に移った。
福島、福島北両署がパトロールし、注意を呼びかけている。■郡山高近くに熊
現場は住宅街
２９日午後０時４０分ごろ、郡山市柏山町の西部公園内の立ち木に寄りかかっている体長約１００センチの熊１頭を通行人が目撃した。現場は住宅街で、周辺に郡山高がある。
２７日にも周辺で目撃情報があり、市が同公園を閉鎖していた。郡山署によると、現場に足跡などはなく、人的・物的被害は確認されていないという。